漫画を開けばフワッとスパイスが香り立つ! 味気ない人生を豊かにするスパイス・ハーブの力

マンガ

更新日:2018/10/15

『ぴりふわつーん』4巻(青木幸子/芳文社)

 ふだんの料理の奥行きを深くしてくれる、スパイスやハーブ。「買ったはいいけど使いきれず、キッチンの片隅に小瓶がいくつも…」なんてことはありませんか? 本稿で紹介する『ぴりふわつーん』4巻(青木幸子/芳文社)は、そんなスパイスやハーブがストーリー中にたくさん登場する、香り立つグルメ漫画です。

■スパイスをテーマにしたイベントを成功させよ!

 本書の主人公、柚子原香(ゆずはら・かおり)は、スパイス会社勤務の会社員で自称“スパイスの魔術師”。世界各国で勤務していたエンジニアの父親のもとで、世界各国の食文化に触れて育ち、確かな舌と食に対する旺盛な好奇心、そして人懐っこさも併せ持つ魅力的な人物。

 そんな香は、厨房機器会社との合同企画「+(プラス)スパイス」を担当する部署に配属されます。「+スパイス」の活動内容は、食材・器材・料理人を繋ぐための、スパイス&ハーブをテーマにしたイベント企画。他社とのコラボ企画を担当するというと聞こえはいいものの、その実際は、コラボ先企業のリコール寸前の社長の息子たちである山崎兄弟と香の3人だけという“崖っぷち部署”。香たちは、コラボ先からの助っ人要員や、香の父の協力も得ながら、「+スパイス」をスタートさせていくのですが、そこに社内スパイ疑惑や、山崎兄の元カノ問題などが複雑に絡み合って…。果たして香たちの一大任務の成否の行方は? ぜひ本書でその結果を見届けてください。

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■ぴりっと辛く、ふわっと香り、つーんと効くスパイス&ハーブの力

 最新の第4巻で扱われるスパイス&ハーブは、唐辛子、ヨモギ、山椒など。それぞれをいかした料理の絵はどれもとても美しく、おいしそうで、まるでページそのものから香りや湯気が立ち上ってくるようです。“見た目を楽しみ、香りにふれ、舌で味わう”という食事の楽しみを、漫画を通じて体験できるような気分にさせてくれます。

 また、本書内に登場する料理には、簡単なレシピが紹介されているものも。たとえば、ビニール袋とフライパン1つで簡単にできる「肉詰めピーマン」や、私たちにとっても身近な食材●●●(本書内でご確認を!)を使って温めなおすと驚きのおいしさになるという「鰻の蒲焼き」など、どれもすぐ試してみたくなるものばかり。スパイス&ハーブを使いこなせれば、見慣れたメニューもランクアップし、毎日の食卓がより豊かなものになりそうです。そんな本作は、この4巻が最終巻。第1巻から読めば、香たちと一緒に料理や食事を楽しめるだけでなく、もっともっとスパイス&ハーブが身近になること間違いなしのグルメ漫画です。

文=水野さちえ