自由と緊張の間で五感を研ぎ澄ませながら食べる、これぞ孤独の愉しみ!
公開日:2012/4/2
孤独のグルメ
ハード : PC/iPhone/iPad/Android | 発売元 : 扶桑社 |
ジャンル:コミック | 購入元:電子貸本Renta! |
著者名:久住昌之 | 価格:630円 |
※最新の価格はストアでご確認ください。 |
「グルメって言っても、食べるのは、石神井公園の茶屋のカレー丼や、地元住民しか知らないような定食屋の定食とか。中年男がそれをひとりで食べるの。ただそれだけの話」
ライター仲間から「一番好きな漫画」として挙げられた本作の説明に「???」になりつつ、とりあえず借りて読むんでみると、本当にそんなお話。なのに結局、自分の手元に置きたくなって、文庫本も電子書籍版も購入してしまったワタクシ。
初めて入る店は勇気がいるもの。がんこ親父の店ならずとも、その店の見えないルール、作法というものが存在する。あの緊張感たるや!
主人公・井之頭五郎氏もこのワナにはまる。もちろん大正解もありつつも、しょっちゅうヤラかしてくれる。
新幹線の中で蒸気で温めるシウマイ弁当を知らずに開けてしまい、車両にニオイを充満させてしまう悲劇。屋台で出会う大阪の人たちの暖かさに感謝しつつもノリについていけない、逃げ出したいようなアウェイな時間。
さらに、五郎氏は酒が飲めない。同じく下戸のワタクシは、この点こそ他の漫画とこの作品を分ける重要な点だと思っている。酒が出てきてしまえば、また違う漫画になっていたはず。酒が飲めない五郎氏は、食べることに集中しつつ、ひとり飯の緊張感を真正面から受け止めるしかないのだ。
それでも、初めて入る店、ひとり食べる行為の、あの満たされ感は何だろう。五感を研ぎ澄ませて空気を感じたり、妙に昔の些細なことを思い出したり。自分との対話。時々関わる人たち。この作品には「あの感じ」が、めいっぱい描かれている。
実写ドラマ化されたが、雰囲気も店のセレクトも違うので、観てから読んでも読んでから観てもOK。実写から好きになった人もそうでなかった人も、一読すべしです。
商用で訪れた街でフラリと入る店。小さな冒険です
注文はハッキリ。これ、五郎氏に教わった教訓であります
五郎氏、たのみすぎ&似たようなもの重なるミス多し
周りの人の親切はうれしいんだけど恥ずかしい
見開きの少ない作品なのでiPadの縦画面で読みやすいです