夏目漱石だって、芥川龍之介だって、みんなみんな怪談好きだったんだ!

学研

2012/4/2

なぜ怪談は百年ごとに流行るのか

ハード : PC/iPhone/iPad 発売元 : 学研
ジャンル: 購入元:電子文庫パブリ
著者名:東雅夫 価格:616円

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現在わが国は怪談ブームである。
京極夏彦や宮部みゆき、綾辻行人といったベストセラー作家が次々と怪談を手がけ、小野不由美の『ゴーストハント』シリーズも大ヒット。最近では豪華執筆陣による「怪談えほん」という児童書シリーズが刊行されて注目を集めたりもしている。

さて、この怪談ブーム。文学史をふり返ってみると、今回が初めてというわけではないらしい。本書『なぜ怪談は百年ごとに流行るのか』の著者によると約100年前、200年前にも、今日に優るとも劣らない怪談の大ブームがあったようなのだ。

約100年前、つまり明治から大正にかけての頃には、夏目漱石、森鴎外、柳田國男といった名だたる文豪たちが怪談の傑作を書いている。さらにその100年前(江戸時代の文化・文政頃にあたるそうな)には『稲生物怪録』『南総里見八犬伝』『東海道四谷怪談』などなど、いまだに上演・リライトされて親しまれている怪談のスタンダードナンバーがゾクゾクと出現したのだった。

なぜ怪談は百年ごとに流行るのか?
その答えは読んでのお楽しみ、ということにしておいて、ここでは本書のさらなる読みどころをアピールしておこうかな。

まずは手軽な入門書として楽しめる点。
宮部みゆきや京極夏彦は好きだけど、他にどんな怪談があるの? という人にはまさにピッタリ。これ1冊あれば、しばらく読みたい本を探すのには困らないだろう。

さらに一風変わった文学史として。
文学史というと国語の授業で暗記させられるもの、というイメージがあるが、「怪談」という切り口から眺めてみると、こんなにも豊かで面白い!文豪たちが無邪気に、しかも真剣に、怪談に取り組んでいた姿を知ることで、年表の上の作家たちもぐんと身近に感じられるはずだ。

そのうえアンソロジーとしての面白さもある。著者は文中において、いくつもの名作を抜粋している。たとえ一部分であっても名作は名作。ショーケースにずらりと並んだ作品を、贅沢にもつまみ食いできてしまうのだ。なかなか手に取る機会のない文豪の作品、「あれね、読んだことあるよ」と知ったかぶりするのにも役立つかも!?

著者は怪談専門誌『幽』の編集長であり、内外の幻想文学に幅広~い知識をもっているエキスパート。といっても、文章は分かりやすく、怪談なんて1冊も読んだことがないよ、という人にもオープンな立場で書かれている。覗き見も大歓迎。怪談にさほど興味がなくても、小説好きならきっと楽しめる。そんな新書の電子版でした。


「はじめに」より。怪談は日本が世界に誇る文化だ

目次より。江戸時代の怪談ブームとは

目次より。文豪たちも怪談に熱中した

著者プロフィール。怪談や幻想文学のエキスパートだ

気になる方は立ち読み版をどうぞ