疲れたら『こぐまのケーキ屋さん』に癒されよう!

マンガ

更新日:2018/11/5

『こぐまのケーキ屋さん』(カメントツ/小学館)

 漫画家・webライターのカメントツは、疲れた友人のために書いたという漫画『こぐまのケーキ屋さん』を2017年秋にTwitterで発表。それが100万以上RTされ話題となり、2018年春に書籍化された。

青年「すみませんショートケーキとチョコケーキをください。」
くまが「はいっ!」とひょっこりショーケースの上に顔を出し、「にじゅうえんですか?」と逆に質問する。青年に「安すぎるよ!」とツッコミを入れられ、くまは「じゃあ…さんじゅうえんですか?」とさらに質問をする。
青年が「ひとつ300円くらいで売っていいと思うよ」とお金を出すと、くまは「ぎんのおかねこんなにくれるんですか?」と無邪気に口をあけて笑顔をみせる。
青年は、次は、500円玉を見せてあげようと思った。

 このような話で始まる『くまのケーキ屋さん』第1巻は20万部を突破。「こぐまの店長がかわいくて愛おしくて、ぎゅーっと抱きしめてあげたくなる本」「なんでこんなに癒されるんだろう」「ただただ店長が可愛い、この可愛さはどこから来るのか」などなど大人から子どもまでくまのとりこだ。

 ケーキを作ること以外はほとんど何も知らないケーキ屋さんは、店員となった青年さんに分からないことは素直に聞く。そして、なんでも体験したがる。クリスマス、年末年始を青年さんと過ごし、バレンタインデーで大忙しなお店をふたりで乗り切り、春夏秋冬を楽しむ。好奇心旺盛で怖がりで案外しっかり者のケーキ屋さんは想像力がとても豊か。目の前の小さなものも全力で楽しむ。そしてケーキづくりにストイック。

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 8月に発売された2巻では、ケーキ屋さんが小学校に行ってみたいと言い出し、それを実行して友だちを作ってしまう。全身を使ってその喜びを青年さんに話す姿もとても愛くるしい。本書は、手元に置いておきたくなる本だ。ほっこり幸せな気分にさせてくれるケーキ屋さんの世界をぜひ一度味わってみてほしい。

文=色川尚