アホが多すぎて60万部を突破!『頭に来てもアホとは戦うな!』に学ぶ、アホのかわし方

ビジネス

公開日:2018/11/6

『頭に来てもアホとは戦うな!』(田村耕太郎/朝日新聞出版)

 いつの時代も人間関係はヤッカイなものだ。会議でなぜかあなたの発言だけにいちゃもんをつけたり、チームメイトなのに敵意を見せて協力的な態度を取らなかったり、明らかに正しい意見をパワハラ的に押し潰したり……むやみやたらと私たちの足を引っ張る存在がいる。『頭に来てもアホとは戦うな!』(田村耕太郎/朝日新聞出版)ではそれを「アホ」と呼び、アホ共を相手にせず自分の人生を思うまま生きる方法を提案している。

 著者の田村耕太郎さんは、かつて参議院議員を務めた過去があり、たくさんのアホ共と戦ってきた。その経験から導き出された答えこそ「アホとは戦うな!」であり、本書では対人関係を鍛えるというより、自身の内面を極める秘訣を紹介している印象だ。

 残念なことに世の中にアホが多すぎるせいで60万部を突破してしまった本書。アホに悩む読者たちはどんな感想を抱いたのだろう。その声をいくつか掲載したい。

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アンガーマネジメント系の本かと思ってたけどそれのみならず処世術や人生のあるべき形とかも書かれた本。章ごとによって内容はバラついてるかと思いきや一冊を通して「自分の人生なのだから他人に振り回されず自分の生きたいように生きればいいんだ」というテーマが感じられた。(HiMAT)

簡単に要約すると、「他人はコントロールできないから、コントロールできる自分にフォーカスしなさい。」という内容です。そう言う考え方、凄く好きです。(tym3104)

 私たちは自身の行いや内面を変えるのに一苦労する。必死に努力と反省を重ねて、少しずつ違う自分を手に入れる。それを“他人”に行うのは、至難の業だ。ならば、その相手と接するときの“自分”を変える。本書はその極意を読者に伝え、多くの人が納得し共感を得ているようだ。

 ちなみに、読者からこのような感想も寄せられていた。

1番の収穫は、プライドが高いこともあり、他人の目や評価ばかり気にしているのは、時間の無駄だよなと気づいたことだろうか。 自分の限られた人生だから、自分を見つめる時間を増やそうと思います。十分自分とはなんだ…と考えてると思うけど、もっと具体的に。 自分が満足する判断基準を明確にすること。(ふーみん不眠)

 本書は、アホとの付き合い方を考えるだけでなく、自身の内面を高めることで人生をより良いものに変える指南書でもある。

 記事の最後に、本書より1つだけ“アホ”との付き合い方をご紹介したい。「カッときたら幽体離脱」だ。

 アホを相手にすると、理不尽にイライラしてカッとなる。そんなときは自分の肉体を離れて、幽霊が真上から人間を見下ろすように自分を見つめるのだ。自分がいて、相手がいて、まさに衝突しようとする瞬間、2人の時間を止めてみる。すると、我に返れるという。「これは相手に嫌われるな」「今にも戦いが始まりそう」という様子を、上から見ることで瞬時に理解して冷静になれる。

 このテクニックは、重要なプレゼンやプロポーズなど、大事な場面でも活用できる。相手から自分がどのように見えて、何が足りていて何が足りないのか、客観的な判断が得られる。著者は本書で、このテクニックを身につけると人生最大の武器になると述べているので、ぜひ今日から実践してみよう。

 人間は誰かと関わりながら生きていく。だから長い人生の間に様々な人物と出会う。ときにはとんでもないアホと付き合うことにもなるだろう。そんなとき人生が思わぬ方向にそれないよう、まずは自分自身の心の土台をしっかり保たなければならない。

 もう今日からアホとは戦わなくていい。本当に戦うべきは自分の内面であり、自分の人生だ。

文=いのうえゆきひろ

※コメントの引用はトリスタが運営する「読書メーター」より