あっけらかんとしたブタ公と哲学をかじる

公開日:2012/4/4

4コマ哲学教室

ハード : PC/iPhone/iPad/WindowsPhone/Android 発売元 : イースト・プレス
ジャンル:コミック 購入元:eBookJapan
著者名:南部ヤスヒロ画 価格:900円

※最新の価格はストアでご確認ください。

相原コージの「コージ苑」、昔愛読していました。そして私ゴトながら、哲学科出身なので、アンテナにピンとひっかかり購入。

ご愛用のeBookJapanは購入も簡単だし、トランクルームへ預けておけば、自宅のPCでも外出先でiPhoneでも簡単に操作でき、デザインやメニューの使い勝手も申し分なし。先日、ちょっとしたダウンロードトラブルにも丁寧な説明メールが届き、ますますファンになっています。

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今回は4コマ漫画を手の内に入る大きさで読む、なんともいえない可愛らしさというものを実感して、私も随分電子書籍に慣れてきたものだと我ながら感心。あれほどアンチ電子な私だったのですが、いまやすっかり日常生活で違和感なく使っています。ことに旅行の際に本を持ち歩かなくてよいメリットは大きい。

さて、この「4コマ哲学教室」。これまで哲学本はいろいろな方法でその難解さへの第一歩を導こうという試みがなされてきた分野。大昔では「ソフィーの世界」なんていう本もベストセラーになりました。「難しいものを理解できるようになりたい」という欲求は万国共通。ありとあらゆるタイプの漫画家がいるこの日本で、あえて相原コージ氏をこの哲学入門本に選んだ編集者のセンスは素晴らしいです。

そういえば「コージ苑」も十分哲学している内容でしたよね。この哲学教室では、主人公とブタ公の哲学的な問答の合間に、南部氏の的確かつ簡潔な哲学講義が挟まる形で展開されます。「オレはなんのために生きているのか? その答えが知りたくて家を出た」浩が、草原ですっかり哲学風に物思いにふけっていると現れるのがブタ公。コージ画伯独特の動物らしからぬ身体バランスが目立ちます。そして、オチはいつもブタ公の「パンもらうよ」。インパクトの勝利とでもいいましょうか、我が家ではしばらくこのフレーズが子供たちの間で流行りました。デカルトもサルトルも演繹法も帰納法も、哲学できる映画もポストモダンもケツメイシも、同じ1冊で語られてしまうこのフレキシビリティは圧巻です。

青春していて行きつ戻りつばかりな浩に的確な答えを投げつけるブタ公。一般教養でどうしても取らなければならなかった哲学のテストが近い大学生に、大雑把な哲学をいまさらだけど把握しておきたい大人に、ブタ公の案内なら、強烈に記憶に残ること受けあい。我が家の小学生も喜んでいましたよ。ふざけているようで、深い1冊。


相原画伯の力強い線とキャラ。インパクト満載

浩の単純さもまた軽快なテンポを生み出し

南部氏の漫画に沿った哲学講義は巧みです

ブタ公の「パンもらうよ」、頭にこびりつきます (C)南部ヤスヒロ・相原コージ/イースト・プレス