人が良すぎる人生はもうこりごり! 「断れなくて損する…」からの脱却法

暮らし

公開日:2018/11/8

『「断れなくて損している」を簡単になくせる本』(大嶋信頼/宝島社)

 フルに仕事を抱え込んでいるのに、ほかの仕事を頼まれると断ることができない人っていませんか。引き受けはするものの、完全に割り切って仕事をしているかというと、そういうわけでもなかったりします。後になって、なんで引き受けてしまったのだろうとウジウジ考えてしまったり、自分でOKを出しておいて、なんで私だけがやらなければいけないのかなんて腹立たしく思ってしまったり。

 友達やママ友からの食事の誘いも、断ったら相手が嫌な思いをするのではとか、さらに考えが飛躍して、嫌われてしまうのでは、もう誘ってもらえなくなるのではなんて考えて断れなくなってしまうことも。その繰り返しです。

『「断れなくて損している」を簡単になくせる本』(大嶋信頼/宝島社)では、断れずに悩んでいる人が頼まれごとや誘いがあったときに、言動や考え方を少し変えるだけで上手に断れるようになる具体的な方法が数多く紹介されています。

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 たとえば、「字が下手で書類を書くのが苦手だからお願い」と代筆仕事を頼まれたとき、本心では「丁寧に書けばいいじゃん」と思っていても、ついやってあげてしまう人はいませんか。通常であれば頼まれごとを済ませると感謝されて終わりますが、なかには一度やってもらえたのを機に次々とお願いしてくる人もいるものです。そのような場合にはギブ&テイクを求めることで、はっきり「NO」と言わずに断る方法もあるといいます。

 相手からお願いされたときに、「じゃあ、その間にこの入力の仕事をやっておいて」と自分の仕事を頼むのです。「時間がないから」と言われたら、「私も時間がなくて」と同じように返します。さらに、自分が書き間違えをしないようにすることと引き換えに、相手には入力ミスのないように作業を終わらせることを求めるのです。すると、そのうち相手は自分で仕事をするようになり頼んでこなくなるといいます。

 さらに、人の気持ちばかり考えてしまって断れないケースについては、“主体性のなさ”を改善することが対策になるといいます。断れる人と断れない人を比べてみると、そこに見えてくる違いが“主体性”の有無だからです。本書では主体性のなさの改善策として自らの経験とともに具体的な対策も紹介しています。

 人よりも多く仕事を背負ったり、ほかの人がやりたくない仕事をこなしたり、自分の時間を削ってでもお付き合いしたりして頑張っている人たち。でも、なぜか努力の割には報われないという現実があります。無理なときは無理とはっきり伝えて自分に素直に生きている人が、自分より損しているということもありません。

「NO」と言える人たちを見ていると、きちんと断れない自分は自信がなさすぎるのではとか意気地がないのではとか考え、自己嫌悪に陥ってしまうこともあるでしょう。しかし、実は断れないことの理由の多くは脳の仕組みやストレスホルモンに関係しているといいます。そして、同じ「NO」と言えない人でも、断らなければいけない場面になると思考が固まってしまう人や後でキレてしまう人、不安や後悔が解消しない人などさまざまなタイプがいて、ストレスホルモンの働き方により断れずにいる理由が異なっているようです。

 自分が断らずに受け入れることで誰かが助かったり幸せを感じたりしてほしい。もともとはそんな思いで断らなかったことが、いつしか損をしたと感じるようになり、相手や周囲に対して恨みや妬みの感情さえ抱くようになることもあります。これは、本人にとっても周囲にとっても決して幸せなことではありません。

 素直に「NO」と言うことで自分が楽になり、周囲を優しく見られるようになれれば、それが一番です。本書で、無理なく断るための手段を学び、幸せに向けた自分改革をしてみてはいかがでしょうか。

文=Chika Samon