サンドウィッチマンのネタ「ファミレス」が絵本に! 新感覚コントを楽しむ『マイク・デービス』

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公開日:2018/11/10

『マイク・デービス』
(サンドウィッチマン:著、倉本美津留:編、杉﨑貴史:イラスト/岩崎書店)

 金髪のヅラをかぶった富澤が、片言の日本語でボケまくる。そしてその小ボケに店員役の伊達が突っ込み続ける。サンドウィッチマンの代表作でもある「ファミレス」ネタが、なんとこの度「絵本」になった。

 芸人のコントが絵本になるって、どういうこと? と絵本『マイク・デービス』を開いてみたら、最初の見開きがこれである。

 一度でもサンドウィッチマンのこのネタを見たことがある人なら、店長の「そのままだな。そいつともだちか」が完全に伊達の声で再生されるのではないか。ポップで可愛い絵柄にまず度肝を抜かれたあと、ネタの再現度の高さにまた驚くのだ。

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 ネタを忠実になぞりながら、それでいてイラストだからこそより伝わる部分もある。2人の小気味のいい掛け合いで笑っていた「まつり」の部分は、こんなに大きなコマで大真面目にやるのだから、余計に笑ってしまう。言葉の面白さに加えて、絵のインパクトはすごいのだと再認識する。

 まさかこの場面が見開きで大々的に描かれると、誰が思っただろう。祭りのくだりが同じ大きさのコマでテンポよく続く中、突然見開きで「南米風の祭り」が現れる。読みながらつい吹き出してしまった。私はこんな畳み掛けるように笑わせる絵本を他に知らない。

 サンドウィッチマンのネタは子供に伝わるのか? と思っていたが、意外と絵にすると「うんち」や「まつり」、「ババー」など、子供っぽいボケも多かったんだなと気づく。

 実はこの、笑いのプロを絵本の作者にする企画は、本書で3作目だ。「お笑いえほん」シリーズとして、過去には『ガムのようせい』(笑い飯:作、川崎タカオ:絵)や『しちふくじん』(立川志の輔:作、中川学:絵)が発売されている。また、このあとも『うまにんげん』(板尾創路:作、片山健:絵)などの刊行が予定されており、どの絵本も子どもにウケそうなテーマだ(絵本を読むような年齢の子が、板尾創路のお話で笑っている姿を想像してみてほしい)。

 こんな絵本を小さいころから読んでいたら、どんな大人に育つんだろう。きっとユーモアのセンスは人一倍磨かれるのではないか。大人も子供も一緒に楽しめる一冊だ。

文=園田菜々