「アイツは元々できるヤツだから…」そんな風に“思考停止”していませんか?

暮らし

2018/11/16

『才能の正体』(坪田信貴/幻冬舎)

 何かにつけて競争を強いられるこの社会で、「才能」について考えたことがない人はいないだろう。受験勉強、スポーツ、就職活動、そして仕事…あらゆる場面で私たちは“成績”を付けられ、それを他人と比較することになる。そして、努力に比べて納得のいく結果が得られなかったとき、つい「才能」という言葉に説明を求めたくなる。

「アイツは地頭がいいから…」「元々運動神経がいいから…」。だが、本書『才能の正体』(坪田信貴/幻冬舎)に言わせれば、それは“思考停止”だという。私たちは、いくら考えても「その人に才能があるのか?」の答えを知ることはできない。だったら、自分の中にある“才能の芽”を見極め、それを磨くために努力をするべきだ――著者の坪田信貴氏は、そう主張している。

 坪田氏は、『学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話』(KADOKAWA)を書いた塾講師であり、人材育成などを行う起業家でもある。受験と社会――その両方の世界を知る坪田氏は、“才能の伸ばし方”について徹底的に考え抜いている。本稿では、そんな坪田氏の哲学の一部を紹介する。

■「やる気スイッチ」などありません

 著者は、受験期の子供を持つ親御さんから「うちの子のやる気スイッチはどこにあるの?」とよく聞かれるそうだが、「そんな魔法のスイッチはない」と断言する。著者によれば、人は、常になんらかの“動機付け”によって動いており、ポジティブな意味で使われがちな「やる気」は親の幻想なのだという。

 勉強をやりたがらない子供は、「テレビが見たい」「遊びたい」という動機付けはあっても、「勉強をしたい」という動機付けがない状態。つまり、子供に対して“いかに動機付けするか”が重要であり、教師や親がそれをうまくコントロールするべきだという。本書では、この“動機付け”をさらに「認知」「情動」「欲求」に分解し、具体例を交えながら詳しく解説している。親御さんや先生たちは参考になるはずだ。

■自分の“尖った部分”を磨く

 受験勉強ではある程度画一的な能力が求められるが、社会で“お金を稼ぐ”方法を考えるなら、あらゆる能力を活かせるチャンスがある。著者は、自分の中にある“すべての尖り”を丁寧に磨いていけば、それだけ選べる仕事や職業ができるはずだと語る。筆者も、学生のころは勉強そっちのけで本ばかり読み、お気に入りの本を友人たちにすすめて「おもしろかったよ」と言われるのが好きで仕方がなかった。増え続ける本の山に親は呆れていたが、そのころの経験は、今まさに本のレビューを書くライターの仕事につながっている。

 人間は、結果を見てから「あの人には才能がある」と判断する生き物。本書で自分の“才能の芽”を伸ばす方法を身に着けて結果を出せば、周りから“才能がある”と思われるようになるかもしれない。まずは自分の「好きなこと」や「得意なこと」を見つけ、それを伸ばしていくための正しい努力の方法を考えてみよう。

文=中川 凌