離婚を決めたのに妻を放り出せない…“獣になれない夫たち”の思いとは

恋愛・結婚

公開日:2018/11/14

「仕事が決まるまでは、ここにいていい」。

 そう言ってしまったがため、元カノが部屋に居座り、今カノと結婚するわけにもいかない……。ドラマ「獣になれない私たち」(日本テレビ)で、主人公・晶(新垣結衣)の恋人・京谷(田中圭)が陥っている状況です。

 常識的に考えればとっとと叩き出しても構わないし、「一ヶ月以内に退去しろ」などと期限を切ってもいいように思えます。けれどそれができない男性は、リアルの世界でも少なくありません。彼らはなぜ、元カノや元妻に〝優しい〟のでしょうか?

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■浮気妻との離婚時に100万円の支度金?

 卓哉さん(40)は、妻と別れる際、100万円の支度金を手渡しました。別離のきっかけは妻の浮気。でも、婚姻中は彼女をさみしがらせた自覚があったので、あっさり突き放す気は起こらなかったそうです。

「ドロ沼になって彼女や相手の男から慰謝料をむしり取るより、終わりくらい淡々と最後の情けをかけて手放したかったのかもしれません。100万円は、自分の結婚生活の葬儀代と思うことにしました」

■別れを決意した妻が「戦友」に…?

 真司さん(37)は、離婚を決めた妻と1年以上同居を続けています。住んでいるのは真司さんの持ちマンションで、もめた原因はおたがいの仕事や子供をもつかもたないかで意見が割れたせい。離婚という結論を出すまで半年以上かかり、その間、家は「疲れきっているのに討論しなければならない残業会議の場」のようだったとか。

「やっと決着がついておたがいの選択を認め合えたとき、家が本来のやすらぎの場に戻ったんですね。離婚のことがなければ、別に嫌いな人でもない。なにより戦い疲れてぐったりなのはわかっているし、今から急かして追い出すこともないかと」

 真司さんらには、現在他に恋人がいないせいもあると思うが、戦友としてねぎらいあっているのだとか。

■なぜそこまで優しくできるのか?

 事情は人それぞれだし、何を“普通”と呼ぶでもないけれど、あえて二人に「なぜ、奥さんに温情をかけるの?」と訊いてみた。少し言葉は違うが、二人は同じ思いを抱いていたようだ。

「自分の親の世代は今ほど離婚が多くなかったし、自分だって結婚したら最後まで“添い遂げる”ものだと思っていた。それができなかったのは、自分にも悪いところがあったからだと思うから、そこはお金でも家に置いてやることでもいいから、なんらかの形で引き受けてケリをつけたかった」

「浮気の証拠を突きつけて妻を“汚嫁”と呼び、一部始終をネットでばらす……みたいなことをしたら昏い快感があるかも、と思ったけれど、そのあと果てしなく沈みそうだったし……」とは、卓哉さんの言葉。

 最後の最後に懐深い紳士になってみせることこそ、惜しい男を失う妻への“復讐”なのかもしれない。

文=citrus ジャニヲタ・エバンジェリスト みきーる