「ハイヒールを履いた女性にオスが惹かれる」のは理由がある。残念なオスの未来は?

スポーツ・科学

2018/11/20

『残念な「オス」という生き物』(藤田紘一郎/フォレスト出版)

 近年日本で自殺者数が多かったのは、平成15(2003)年度の3万4427人。昨年平成29(2017)年度は2万1321人と、1万人以上減少している。つまり、自殺者数は減少し改善の方向へ向かっているということだろう。

 しかし、過去30年以上の記録で自殺者数が最多だったというその平成15年と昨年とを比べて、変化していないことがある。それは、女性よりも男性の自殺者数が大幅に上回っているということだ。

 2015年の統計を見ると、1960年以降女性の自殺者数は3割以上減少しているのに対して、男性の自殺者数は16%増となっている。なぜ性別の違いで、これほどまで自殺者数が違うのか。男女の違いという面で、これほどショッキングな数字はないだろう。

 男女の違いについて、特に残念な「オス」という生き物について、人間だけでなく昆虫や動物などの生態から考察を巡らせるのが、『残念な「オス」という生き物』(藤田紘一郎/フォレスト出版)だ。

 人間は自分自身のことをあまりにも複雑に考えてしまいがちだが、地球上に暮らす生物全体で考えてみれば些細なことも多そうだ。本書では、「人間についてわからなくなったら原点に帰れ。答えは動物に訊けばよい」と、悩める人に対してレスポンスを返す。

「でも、人間は他の動物とは違うから…」と考える人がいたら、ちょっと待ってほしい。視野が狭くなってしまっていないだろうか。「バカじゃないの!?」と切り捨てる前に、まず本書がどのようなものであるか、知っていただきたい。

 全てをお伝えすることができないが、本稿ではその一部をご紹介しよう。

■オスがハイヒールを履く女性に惹かれるる理由は…?

 ハイヒールを履いてビジネス街、あるいは歓楽街を歩く男性を見たことがない。つまり、ハイヒールとは基本的に女性が履くものだ。そして、ハイヒールを履いた女性像は、男性が性的な興奮を覚える姿なのだという。

「なのだという」という言い方でお分かりいただけるかもしれないが、正直なところ私はハイヒールを履いた女性に対して、特にフェティシズムを感じない。「そういうのが好きな人がいるよな」ぐらいの認識だった。

 しかし、本書では、ハイヒールを履いた女性の姿は“ロードシス”という体位に似ているという解説がある。ロードシスとは、犬や動物のメスが発情期にとる姿勢のことで、お尻を後ろに突き出しながら下部脊椎を弓なりにそらせる仕草のこと。

 オスはこのような仕草をするメスをセクシーに感じるため、ハイヒールを履いて腰のカーブを強調した女性の姿もまたセクシーに見えるのだという。上記を解説する本書イラストを見て「なるほど、セクシーだ!」と感じてしまった。

 説明を聞いて、「確かにハイヒール姿はイイ…」なんて考えてしまう私は、どうしようもなく“オス”なんだな、と実感してしまう次第だ。

■え!? “オス”って不要なの?

 このような見出しを書いていて非常に悲しくなる。オス(男)であれば、きっと、みんなそうだろう。

 しかし、生き物の世界は残酷だ。オスがいなくとも生殖活動を行い、子孫を残すことができるクミドフォルス・ユニパレンスというトカゲがいるそうだ。あるいは、オスとメスが交尾した後、メスの身体にある把握器という器官でメスの身体から離れることができず、そのまま引きずり回された挙句、メスたちに喰い千切られるトゲオオハリアリなどの生物たちの事例を読むといたたまれない気持ちになる。

「嬲る(なぶる)」という漢字を男女逆にしてほしいくらいだ!

 本書によるとどうやらオスは生物学的に見ると不要な存在となりつつあるという。非常に恐ろしい。非常に悲しい話だ。だが、どこかで「まぁ、オス(男)だから仕方ないな…」とどこか諦めたり納得したりしてしまうのが、恐ろしさを加速させる。

 しかし、安心されたし世のオス(男)たちよ。本書では「『残念なオス』こそが人類絶命回避のキーパーソン」という記述がある。本書の根幹をなすこの事実の根拠については、ぜひとも書籍をご覧いただきたい。そして、オス(男)という性に誇りを持っていただきたい。

 本書の読み方として、「人間以外の生き様を一から十まで参考にする」というのだとしんどいものになりそうだ。「確かに、こういう生き方はヒントになりそうだ」というスタンスで読み進めるのがベストだろう。

 本書を読み進めて感じるのは、オス(男)とメス(女)は別の考えを持った、別の生き物なのかもしれないという印象だ。ゆえに、自分の考えが何の説明もないまま異性にわかってもらえるだろう、という思い込みを今一度見直すきっかけになる。男女の違いを理解してオスの生きる道を探すためにも、本書は必要な1冊である。

文=冴島友貴