じじいばばあゲームに、鼻くそ泥棒……くっだらないギャグに興じるJKの日常に腹筋崩壊!

マンガ・アニメ

2018/12/13

『女子高生の無駄づかい』(ビーノ/KADOKAWA)

 この世には、女子高生が主役の日常系マンガが数多くある。彼女らがキャッキャしている様子は、見ているものを和ませ、ただただ「かわいい……」と極楽気分へと導いてくれる。そんな女子高生マンガの急先鋒が『女子高生の無駄づかい』(ビーノ/KADOKAWA)だ。

 しかし、本作は俗にいう女子高生マンガとは一線を画す。いや、それどころか、二線も三線も画す内容になっているかもしれない。

 本作に登場する女子高生たちは、端的に言って、みんなかわいい造形で描かれている。そんな彼女たちがじゃれ合うのだが、肝心なのはその内容。下ネタ、親父ギャグ、体を張ったシュールなネタ……。いずれの登場人物も、みな芸人ばりに笑いに走っているのだ。

 主要となるキャラクターは3名。ショートカットで快活な田中、強めのツッコミが目立つ菊池、物静かな鷺宮だ。この紹介だけだと、3名とも属性が異なるだけのどこにでもいるような女子高生たち。けれど、これは彼女たちの表層的な部分。田中は日々予想の斜め上をくり返すため「バカ」というあだ名をつけられており、実はキモヲタな菊池はまんま「ヲタ」、すべての感情が死滅している鷺宮は「ロボ」と呼ばれている。バカ、ヲタ、ロボ。花の女子高生に対してのあだ名としては、あまりにもひどすぎる……。みんな、本当にこのあだ名で良いの?

 本作ではこの3人を主軸に、他愛のない会話をベースとしたやり取りが展開されていく。たとえば、3人の初登場シーン。「客観的に見て顔もスタイルも中の下な自分たちがモテるためには、若さを活用すべき」だと熱弁するバカに対して。

バカ「女子高生という最大の武器を持つ今が最強で、今頑張らないとこの先一生彼氏とか出来ないんじゃない? どお? なかなかすごい衝撃だったっしょ?」
ヲタ「すげぇー頭悪そう」
バカ「…ロ、ロボはどう思った!?」
ロボ「すごいと思った。自分で自分のことを中の下と過大評価してるあたりがすごいと思った」

 普通の日常系作品であれば、「そうだね、モテるために頑張ろう!」と一致団結するのがお約束だが、本作では辛辣にメッタ斬り。作品の出だしからこれである。もうここで読者の心は鷲掴みだ。

 さらに物語が進むと、より個性的なキャラクターたちが次々に登場する。中二病をこじらせている「ヤマイ」、小学生にしか見えない「ロリ」、体と頭が弱い優等生の「マジメ」、ハーフで絶世の美少女ながら、女子が大好きな百合っ子「リリィ」、コミュニケーションに難があるオカルトマニア「マジョ」。いずれもちょっと、いやだいぶ変わっているキャラクターたちだ。……この学校、大丈夫なの? これらのキャラクターが活躍しだすのは第2巻以降。さらなるギャグ展開で笑いたい人は、ぜひ続けて読むことをオススメする。

 そして、最新刊の第4巻でも、彼女たちのシュールなギャグの応酬には拍車がかかる。タブレットに表示される人物がおじいさんかおばあさんかを判別する「じじいばばあゲーム」に興じたり、毛深くなるためにはどうすべきかを議論したり、鼻くそをめぐる攻防を繰り広げたり。……何度も言うが、この学校、本当に大丈夫?

 くり返しになるが、本作は普通の女子高生マンガではない。見た目はかわいらしいのに一癖も二癖もあるキャラクターたちが、時にシュールに、時には体を張り、読者を笑わせにかかってくる。いわば彼女たちは、女子高生ではなく女芸人だ……!

 友達と喧嘩をしてしまった日、彼女にフラレてしまった日、仕事に疲れ切ってしまった日。少し気持ちが落ち込んでいる日こそ、本作を読んで元気を出してもらいたい。バカを始めとする一風変わった子たちもこうして生きているんだ。そう思えば、きっと勇気と元気が湧いてくるはず。ただ、それにしても、本当にこの学校って大丈夫なの? それだけが心配である。

文=五十嵐 大