「自分が好きになれない」理由は子ども時代にあり!? 自己肯定感を上げるコミックエッセイ

マンガ

更新日:2018/12/3

『自分を好きになりたい。 自己肯定感を上げるためにやってみたこと』(わたなべぽん/幻冬舎)

 世の中には「自分を好きになる」ための自己啓発本はたくさんありますが、たとえ一時的に好きになることができたとしても、根本的な解決ができない限り、自身を嫌悪する感情はムクムクと湧きあがってくるものです。

 コミックエッセイ『自分を好きになりたい。 自己肯定感を上げるためにやってみたこと』(わたなべぽん/幻冬舎)が画期的なのは、自分でしっかりと子どもの頃の自分と向き合い、当時やりたくてもできなかったことや投げ出してしまったことをピックアップしながら、ひとつずつ丁寧にクリアしていくところです。

 昔から自分のことがどうしても好きになれず、落ち込むことが多かったという著者のぽんさんは、幼少期の母親との関係に原因があることに気付きます。そんなある日、テレビのドキュメンタリー番組で80歳の女性が一念発起して高校受験に挑戦し、見事高校生になったというエピソードを目の当たりにします。「子どもの頃に本当はやりたかったけど、親に言えなくて諦めたことはなんだろう?」と思いを巡らせたところ、自分の中の「子どもの頃の私」が顔を出したと言います。それを機に、ぽんさんは「子どもの頃の私」と向き合うことを決めたのです。

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 やりたくてもできなかったことと言っても、大げさに考えなくて大丈夫。ずっと欲しかった時計を自分にプレゼントすることから、計算ドリルを最後までやり切るといったことまで、大人になった自分が無理なく出来る範囲のことをひとつずつクリアしていくだけ。そのかわり、ちゃんと出来たら「頑張ったね!」とか「似合ってるよ!」と、自分で自分を褒めてあげることがポイントなんです。

 そのなかでも羨ましいと感じたのは、ぽんさんが夫に、小さい頃にあることが苦手だったことを打ち明けたところ、夫から思いがけない言葉が返ってきたところです。「それ、僕も自力で成功させたことがないんだよ。だからすごく気持ちがわかるよ」「僕もできるようになりたい! 一緒に練習していい?」と、ふたりで一緒に克服しようとするのです。「ひとりだと挫折してしまいそうなことでも、ふたりなら楽しみながらトライ出来そう!」と思わせてくれます。

 人によっては、読み進めるのがちょっぴり辛くなってしまうページもあるかもしれません。でも自分のペースでしっかり克服出来たら、きっとその自信は一生モノになるはず。昔の自分を救ってあげられるのは、今の自分だけ。せっかくなら、昔の自分とも仲良く付き合っていけたらいいですね。

文=渡邊玲子