「ほどほど」が一番いい。スウェーデンのライフスタイルに根づく「LAGOM(ラーゴム)」って?

暮らし

2018/12/4

『LAGOM』(ニキ・ブラントマーク:著、稲垣みどり:訳/東洋館出版社)

 人は様々なものに価値を見出す。お金、人間関係、あるいは時間。忙しい現代人が幸福感を抱くためには十分な時間こそ必要だ、と考える人が一定数いるはずだ。

 毎年、世界幸福度ランキングの上位には北欧諸国の名前が目立つ。スウェーデンも上位常連国の一つだ。北欧諸国はなぜ幸福度が高いとされるのか。たとえば、スウェーデンの文化にヒントが隠されているかもしれない。

『LAGOM』(ニキ・ブラントマーク:著、稲垣みどり:訳/東洋館出版社)は、書籍タイトルにもある「Lagom(ラーゴム)」という言葉を紹介している。Lagomは「すべてにおいて中庸」「多すぎず、少なすぎず」という概念でスウェーデン人に理解されており、生活において何よりも重んじられている。「ラーゴム エー ベスト(ちょうどいい量がいちばん、ほどほどが大事)」なのだ。

 すべてのスウェーデン人が大好きな文化に「fika(フィーカ)」がある。大人はときどき家事や仕事、勉強などの作業を中断して、家族や友人たちとコーヒー・おやつを楽しむのだ。日本の休憩時間と違うのは、場所や時間を問わないことと、その目的。場所は食卓でも、カフェでも、それこそ道ばたでもいい。時間は深夜でなければ、朝から夜までOK。そして、肝心な目的は、家族や友人たちとおしゃべりをして、ストレスや緊張を解き放つこと。一人きりで気持ちを落ち着けることではなく、誰かと共に楽しむために、fikaがある。

 Lagomの概念を形にしたfikaが、みんなのペースをほどほどに落として、ストレスを減らし、好きなことに費やす時間を増やしている。

 スウェーデンは福祉が充実していることで知られる。当然、税金は高い。そのため、スウェーデンでは昔から外食のハードルは高く、友人と食事をする場合は家に招くことが多い。ここでも、Lagomが顔を出す。家に招いた側はあまり気張らない用意をし、招かれた側はほどほどに持ち寄る。「ラーゴム エー ベスト」だからこそ、無理せず、気負いせずしばしば場を設けることができる。

 小さな子どもは甘い物が大好きだが、食べ過ぎはよくない。だからといって、がまんばかり強いるのはLagom的ではない。スウェーデンでは「ローダースグーディス」という言葉がある。「土曜日のおやつ」を意味する。毎週土曜日には、スーパーマーケットにあるお菓子売り場は、甘い物を1週間がまんした子どもたちであふれる。お菓子を週1回に限定する“ほどほどさ”が、小さな子どもの健康をつくっている。

 Lagomがもたらす気持ちのゆとりは、スウェーデンの「公平と平等を重んじる文化や社会理念と結びついている」と本書は述べている。自立心が強い面を持つスウェーデン人の積極的に協力し合う気持ちは、Lagomが醸成しているのだ。

 意識的にLagomを取り入れてみることで、私たちの慌ただしい生活にすこしずつ変化が起きるかもしれない。

文=ルートつつみ