「変な人」を全力で演じる香川照之が最高! 面白すぎる邦画案内マンガ!

エンタメ

2018/12/7

『邦画プレゼン女子高生 邦キチ! 映子さん』(服部昇大/集英社)

『邦画プレゼン女子高生 邦キチ! 映子さん』(服部昇大/集英社)は、タイトル通り邦画マニアの女子高生、映子さんが「邦画の面白さ」を紹介してくれるマンガである。

 最近私は月払いの映画・ドラマ観放題サービスに加入したのだが、数が多すぎて何を観ればいいのか分からなくなっており、こういった「紹介マンガ」を探していたのである。

 しかし本作は映子さんの視点が独特過ぎて、大分ぶっ飛んでおり、「日本人なら観ておくべき邦画の傑作を真面目に紹介する」というものではなかった。……まさかこんなに笑えるとは。

 想像していたものとはかなり違っていたのだが、これはこれで最高だったし、紹介されている映画は漏れなく全て観たくなるので、満足度120%の本作。何が面白いって、映子さんの「邦画のうがった愛ある見方」が、秀逸過ぎるのだ。

 映子さんは「映画について語る若人の部」に所属している。

 この部は、映画が好きで誰かと語り合うことを切望していた部長の洋一が作ったのだが、進学校の生徒たちは誰も興味を持たず。唯一、入部したのが映子さんだった。

 ようやく出会えた同じ趣味を持つ同志に、洋一は喜びを隠せない。

洋一「お前は何の映画が好きなんだ!? 『パイレーツ・オブ・カリビアン』か『ラ・ラ・ランド』……ジブリか、ピクサーか!?」
映子「私が好きな映画は、実写版『魔女の宅急便』でありますっ!」
洋一「あったっけ、そんなの!?」

 ……そう、映子さんが好きになるのは、話題になった作品ではなく、あまりメジャーではないものばかり。さらに、「ツボ」もかなりズレている。

 実写版『魔女の宅急便』で映子さんが好きなのは、「キキにイラついたトンボが『魔法魔法言うな!』と叫びながら、キキを張り倒すシーン」だという。

 また別の日、洋一が「バディもの」としてエドガー・ライト監督の『Hot Fuzz』を薦めると、「私の好きなバディ作品は『Dog×Police 純白の絆』です!」と、市原隼人主演の作品をオススメしてくる。(マイナーと言ってしまうと、市原隼人ファンに怒られそうだが、誰もが知っている作品ではない……)。しかも、バディの相手は「犬」。「犬顔の市原隼人と実際の犬! これほど心踊るバディはいないと思いませぬか!?」と映子さん。

 本作は、独特過ぎる切り口で、あまり有名ではない邦画の魅力を伝えてくるギャグマンガだ。映子さんに共感はできないが、「ある意味、観たい……」と思わせてくれるので、私のように、なんでもいいから邦画が観たいと悩んでいる方には持って来いだろう。

 ちなみに私は「山の中でふんどし一丁の國村隼が鹿にかぶりつくシーンが最高」だという韓国映画の『哭声(コクソン)』と、「『変な人』を演じさせたら天下一品の香川照之が全力で『変なお隣さん』を熱演」した傑作『クリーピー 偽りの隣人』を観た。

 シリアスな場面なのに、映子さんのことが頭をよぎり笑ってしまうという弊害もあったけれど、どちらも面白かったので、映子さんにはお礼を言いたいです。

文=雨野裾