面倒くさがりでも大丈夫! 万能調味料「めんつゆ」で簡単ひとり飯

食・料理

2018/12/7

『めんつゆひとり飯』(瀬戸口みづき/竹書房)

 ひとり暮らしを始めてまず初めに思うことは、家族のありがたさだと思う。自分が何もしなくても食事は3度出てくるし、部屋なんかも綺麗になっている。ひとりになった途端、それらはすべて己の仕事として降りかかってくるのだ。特に食事は毎日の話ゆえに、辟易とした人も多いはず。だが要領のよい人になると、そこからいかに効率的に食事の準備をするかを考えるようになる。まあ要するに「手を抜く」ということなのだが、この『めんつゆひとり飯』(瀬戸口みづき/竹書房)には「めんつゆ愛」というよりは、手間をかけずに料理を作るアイディアが詰まっている。

 本作の主人公「面堂露(めんどう・つゆ)」はその名の通り、大変な面倒くさがりやの残念女子。自炊はしているのだが、できるだけ省力でおいしく作ることを追求してたどり着いたのが、「めんつゆ」を使うことだった。しかし背徳感からか、同僚で社長秘書、さらに料理上手の既婚者「十越(とごし)いりこ」が心の中に現れて露にツッコミを入れてくる。それでも本人は「それ込みでおいしい横着めんつゆ料理」と、開き直ってさまざまな「めんつゆ料理」を作っていくのだ。この主人公と「心の十越さん」の掛け合いが非常に面白く、普通のギャグ4コマ漫画としても十分楽しめる。

 もちろん作中に登場するめんつゆ料理のレシピも掲載されており、グルメコミックとしての実用性も抜群。めんつゆとアボカドで作る「アボカドねぎとろ丼」や、めんつゆをベースにした「ミルクチーズリゾット」など、簡単なものからアレンジの利いたものまで多彩なレシピが用意されている。露が「心の十越さん」のツッコミと戦いながら楽しそうに料理を作っている様子を見れば、やはりこちらも挑戦してみたくなるのである。

【アボカドねぎとろ丼】

 漫画の冒頭に登場するレシピであり「本当に簡単なのか」を実証するべくセレクト。記載されているレシピは「アボカド1/2個」とか「ねぎとろ半パック」とか、結構アバウトである。そんなワケで分量などを補完しながら再現することに。材料はひとり分で「アボカド50g」「ねぎとろ60g」「ご飯300g」「卵黄1個」「めんつゆ100cc」「水50cc」「ごま油小さじ1」以上である。作り方は以下。

1.アボカドは皮を剥いて種を取り、一口大に切る。
2.ジップロックまたはタッパーにアボカドを入れ、めんつゆと水、ごま油を合わせた漬け汁に入れる。半日~一晩で食べ頃。
3.丼に入れたご飯に2とねぎとろをのせ、漬け汁をひと回しかける。
4.真ん中に卵黄を落としてできあがり。

 アボカドを漬ける時間を除けば、所要時間は10分もかからなかった。本編で主人公が述べた感想通り「犯罪的トロトロ」な食感で、非常に美味。アボカドはめんつゆにしっかり漬かっており、ねぎとろとの相性もよかった。注意点としてはアボカドを1日漬けるので、ねぎとろは生鮮食品ゆえにタイミングをずらして購入すること。まあ「1日なら気にしない」くらいが面堂露っぽくて再現度が高いのかもしれないが。

 私もひとり暮らしをして長いが、めんつゆの利便性には随分とお世話になってきたので本書に対しては共感しかない。しかし、である。主人公の大雑把なめんつゆ料理と、十越さんの丁寧な手料理のどちらがよいかと問われれば、ノータイムで「十越さん」と答えてしまうことは、割と正常な判断だと思うのである。

文=木谷誠