私たちの身体は現代社会に適していない…!?その原因は人類の進化にあった!

健康・美容

公開日:2018/12/19

『最高の体調 ~進化医学のアプローチで、過去最高のコンディションを実現する方法~』(鈴木祐/クロスメディア・パブリッシング)

 私たちは、常に“体調”に支配されている。例えば、仕事で実力を発揮したいと思っても、体調が万全でなければ、思うような成果を得られないことが多い。身体の不調は、風邪や頭痛、関節の痛みなど、バラバラの症状として現れ、私たちは、これらの症状に対して、個別の解決策――風邪薬、頭痛薬、などによる治療を選択する。

 だが、本書『最高の体調 ~進化医学のアプローチで、過去最高のコンディションを実現する方法~』(鈴木祐/クロスメディア・パブリッシング)は、症状の根本的な“原因”を突きとめなければ、また同じことの繰り返しになると主張する。著者は、多くの場合、こうした不調の原因は、現代社会特有の“文明病”だと語る。

「文明病」とは、近代社会の変化によって引き起こされる、現代に特有の病気や症状を意味します。

 著者によれば、私たちの身体は、現代社会を生きるために最適化されたものではないのだという。考えてみれば当然のことだが、人類は非常に長い時代を狩猟採集の民族として暮らしてきた。自然の中で獲物を狩り、太陽の動きに合わせて生活し、少ない仲間と語り合う――そうした暮らしに適応するべく進化してきた身体は、今の急速な文明発達に追いついていない。だからこそ、さまざまなところで綻びが出てしまうのだ。本書のねらいは、この“人類の進化”と“現代社会”のミスマッチを解消することにある。

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 数あるミスマッチの中でも、著者が“最優先”で改善すべきだと語るのが「自然」である。自然と触れ合うことは、副交感神経を活性化させる役割があり、私たちは日中の疲れやダメージを回復することができる。さらに、草木に囲まれて生活することは、私たちにほどよい興奮や満足、さらには適切な脅威を与えるため、心の動きが安定する。

 だが、大きなビルに囲まれた都市部の生活では、そのような自然と接する機会を作るのはむずかしい。どうすればいいのだろうか。まず、手軽に始められるのが「自然音」と「自然画像」だ。例えば、スマホの壁紙を森や海の風景に変えたり、通勤時間に川の音を聴いたりするだけでも十分リラックス効果はあるという。さらに、その効果を高めたければ、家や職場に「観葉植物」を置き、日ごろ「公園」で散歩をする習慣を作るといいのだとか。

 本書では、「自然」以外にも、「人間関係」や「食物繊維」、「睡眠」「運動」など、私たちの“体調”を大きく左右する要素に関して、進化医学と数多くのエビデンスに基づいたアドバイスを掲載している。いきなりすべてをやるのはむずかしそうに思えるが、複数の要素を同時に実行することもできる(例えば、公園でのランニングを友人と一緒にやるなど)。ぜひ本書を参考に、身体の問題を根本から解決することを目指してほしい。

文=中川 凌