「大勢とつるむのは面倒、でも独りはイヤ」に効く、孤独のバランス感覚とは?

暮らし

2018/12/8

『孤独 ひとりのときに、人は磨かれる』(榎本博明/クロスメディア・パブリッシング)

“人間にとって、孤独は過剰であっても不足してもいけない。本当に重要なのは、そのバランスを整えることだ”

 心理学博士である榎本博明氏の著書『孤独 ひとりのときに、人は磨かれる』(クロスメディア・パブリッシング)の帯にはそう書かれている。たしかに、孤独を論じるときには“孤独か否か”という二元論で考えがちだ。それゆえに本書が説く「孤独のバランス」という言葉にはハッとさせられる。では、孤独のバランスとは具体的にはどういうものなのか、どうやればそのバランスが整うのだろうか?

■現代では多くの人が「つながり依存」に

 本書は「つながり依存」という言葉をひとつのキーワードにしている。その「つながり依存」を減らしていくことが、孤独のバランスを取るということに繋がるようだ。著者は電車内で多くの人がスマホをいじっていることを「異様な光景」と呼ぶ。それは本来あるはずの“ひとりでぼーっと物思いにふける時間”を奪い、過剰につながりを求めている状態を示しているという。

つながり過剰の中では、思考は浅くなり、創造性も失われていく。そうした弊害を認識し、“ひとりの時間”の大切さに気づくことができれば、つながり過剰の世界から解き放たれて、もっと自由で豊かな生活を手にいれることができる

■ネットに依存しすぎると、自分を磨く時間が減ってしまう?

 ネットに繋がりすぎることは、読書の時間を奪い、やがて考える力まで奪うという。まとまった文章に親しみがなくなるうえに、検索すれば何でもわかってしまうため、自分で考えて物を書くという能力が低くなってしまうという。

 2013年に総務省が発表した報告書によると、スマホを持ったことによって社会人が奪われたとされる時間は、「本を読む時間」が24.6%、「新聞を読む時間」が20.1%、「勉強する時間」が16.9%、「睡眠時間」が15.4%である。自分を磨くためのひとりの時間がネットの利用によって奪われているという。

■自分の時間を取り戻すために必要なこと

「デジタル・デトックス」という言葉がある。ネット機器を一定時間オフにし、睡眠障害や無駄な時間の使いすぎを改善しようとする方法だ。ネットから離れると、目の前にあることをもっとじっくり味わうことができる。たとえば入浴、食事、休日…。スマホ画面から目を離すことで、体をきちんと休めたり、自分の考えにふけったりできるのだ。

 思考を深めて自由で創造的な生活を送ることを、著者は「豊かな孤独」と呼ぶ。現代人は自分を見失いがちだ。それは雑多なコミュニケーションと過度の情報にさらされるため起こるという。繋がることで孤独を癒しているはずが、繋がっていないと不安を感じるという副作用を生んでいる。まさに中毒のようだ。そのせいで、繋がっていない時間を楽しむことができず、本来あるはずの豊かな時間を奪っているのだ。

■「孤独のバランス」をどうやって手に入れる?

「もちろん孤独がいつも素晴らしいというわけではない」と著者はいう。さびしさを感じたり孤独に襲われたりすることがあるのは、人として当然だ。だが、過剰に繋がっていたいという風潮は行き過ぎだという。ひとりの時間の大切さに気づくことが、豊かな生活に繋がる。つながりを全て断つことは難しいし、そこまでやる必要もない。意識して少しずつ無駄に繋がることをやめ、自分を豊かにする「ちょうどよいポイント」を探す。それが、“孤独のバランスを取る”ために必要なことなのではないだろうか。

文=ジョセート