ココロが敏感すぎて生きづらいあなたへ…身近にいる“面倒くさい人”を上手にかわす方法

暮らし

公開日:2019/1/8

『スルースキル』(大嶋信頼/ワニブックス)

「鈍感になれたらな…」とよく考える。ささいなことにも傷ついて、いちいち落ち込むのはつらい。たとえ「鈍感な人」と呼ばれてもいいから気持ちをラクにしたい…と想像する。

『スルースキル』(大嶋信頼/ワニブックス)は、心理カウンセラーの著者が「あえて鈍感になって人生をラクにする方法」を伝授する一冊だ。本稿では、本書で紹介されているスルースキルを一部紹介していきたい。

 スルースキルを獲得する上で、著者は「自分中心」の考え方に変わることを勧めている。誰かが相手に攻撃するとき、そこには「自分より弱い立場なのに、自分にないものを持っている!」という“嫉妬”の心理が隠れているという。たとえば、親が子に対して「自分が子どもの頃はこんなに自由に楽しく遊んでいなかった!」という嫉妬心を持つと、「騒いでうるさい!」という叱り方をする。本人には嫉妬の自覚はない。むしろ教育に良いことをしていると思いこんでいる。

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 つまり、必ずしもこちらに落ち度があって攻撃されているとは限らないのだ。また、自分も知らないあいだに誰かに嫉妬し、あくまで助言をしているふうに攻撃してしまうこともある。たとえば職場の後輩が自分より活躍しているときに「そのやり方は変えたほうがいい」と助言するなどだ。

 そこで「自分中心」に生きてみることを著者は勧める。そこには開放感が生まれ、充足した人生が待っているという。「自分中心になってしまうと友達をなくすのでは」と心配するかもしれないが、ためしに自分中心で生きてみると、同じく自由に生きる人たちが周りに集まり、むしろ心地よい環境が築けるようになるという。

 他人の攻撃を「真に受けない」ことは、大事なスルースキルだ。著者は、以前に働いていた会社で、同僚が上司から叱られるのを見て怯えていたそうだ。ある日、とうとう自分も叱られてしまった。そのとき同僚が「あの上司、今日はたぶん痛風が痛かっただけだから」と言ってくれた。それをただの慰めと思っていた著者。しかし別の日、上司の妻が職場を訪れた際に「朝、あの人と喧嘩した」と言ったそうだ。すると、その日の会議で上司のイライラが手に取るようにわかった。そのうちに著者は、上司が痛風が酷いときにする貧乏ゆすりまでわかるようになったという。

 それまでは、上司からの指摘を真摯に受け反省していた著者だが、真に受けるのをやめると上司の怒りをスルーできるようになり、「自分はいい仕事ができている」と思えるようになった。周りを見ても、反省していない人のほうが仕事がうまく行っていた。「自分が悪くないのに反省するのは無駄だ」と著者は言う。

 スルースキルを身につけようとすると、そのうちスルーすることに疲れてしまうときもあるという。それはスルーに対して意識的になっているため、「これをどうやってスルーするか」と解決しようと考えることが原因だ。そんなときは、意外に他人が助けてくれるという。「これどうしよう?」と相談すると、それまで非協力的と思っていた人でも自ら代わりを引き受けてくれたりするという。そのうちに「人に頼っても意外と問題は解決していくものだ」と思えて楽になる。周りの環境が自分の「スルー」を後押ししてくれる形だ。

 本書では他にも、多くの具体的なエピソードと共に「鈍感になれる方法」が紹介されている。「敏感すぎて生きづらい」と悩んでいる方は手にとってみてはいかがだろうか。その日から実践してみることで心がラクになり、人生が豊かになっていくかもしれない。

文=ジョセート