宝くじで1億円が当たったサラリーマンのその後は……

暮らし

2018/12/30

『マンガ 宝くじで1億円当たった人の末路』(鈴木信行:著、星井博文:シナリオ、松枝尚嗣ほか:作画/日経BP社)

 年末といえば「宝くじ」だ。今年も一攫千金を夢見て年末ジャンボを購入し、大みそかの発表を心待ちにしているという人も多いだろう。今年は、1等が7億円、前後賞が1億5000万円。前後賞だけでも当たれば、ガラリと人生が変わってしまうほどの大金である。そして、その変化は、決していいことばかりではない――。宝くじで夢を見ている人たちには、本書『マンガ 宝くじで1億円当たった人の末路』(鈴木信行:著、星井博文:シナリオ、松枝尚嗣ほか:作画/日経BP社)を“転ばぬ先の杖”として読んでもらいたい。

■1億円を当てた、しがないサラリーマンの末路とは…?

 しがない会社員・坂下健一(52)は、ある日宝くじで1億円を当てる。だが、その1億円は、良くも悪くも彼の生活を大きく変える。健一は、「当選したことを家族以外に言わない」という基本を守り、家族旅行や高級料理、家のリフォームなどにそのお金を使っていた。それでも、外には“羽振りがいい”雰囲気が伝わってしまうものである。そのうち、お金目当てで部下の女性が近づいてくるようになったり、妻と使い道で喧嘩してしまったり…と、不穏な空気が漂いはじめる。そして、ついに高額当選の噂を聞きつけたコンサルタントから「カフェのオーナーをやらないか」と提案されるのだが…。気になる結末は、本書で確認してほしい。健一は、あまりにも多くのものを失ってしまう。

■普通の人は、「お金」より「仲間」と「才能」が大事

 著者によれば、宝くじの高額当選者が陥りやすい不幸のパターンは、以下の通りだ。

(1)親族トラブルが続発する
(2)浪費が過ぎて宝くじに当たる前より貧困になる
(3)仕事(人生)にやる気がなくなる

 本書を読んで「いちばん危ない」と感じたのは、「(3)仕事(人生)にやる気がなくなる」だ。大金を手にした人間は、どうしても以前と同じモチベーションで働くことがむずかしくなる。健一は、上司から成果を出していないことを叱られても、「どうして俺が頭下げないといけないんだ」という思考回路になってしまい、ついには会社を辞めてしまった。だが、今持っているお金だけで一生遊べるわけではない…。働くことへの意識が薄れ、自分の「才能」を磨くことを怠ってしまうと、普通の生活に戻るのはむずかしくなる。著者は、普通の人は、投資や宝くじで「お金」を急激に増やそうとするよりも、「仲間」や「才能」を地道に育んだほうが幸せになれるのではないか…と語る。

 本書は「宝くじで1億円当たった人の末路」を含めて、著者の取材に基づいた10編の「○○の末路」をマンガで掲載。「教育費貧乏な家の末路」「キラキラネームの人の末路」といった気になるタイトルから、「ワイシャツの下に何を着るか悩む人の末路」など、一見どう転がるのかわからない話もある。先人たちの“失敗”を知ることで、これからの人生のための“反面教師”にしてはどうだろうか。

文=中川 凌