80股の理由に脱帽!「宇宙一モテる男」は 31歳フリーター

マンガ

公開日:2019/1/6

『プレイボーイ侍』(原克玄/秋田書店)

 他人からどう思われているか気になって仕方がない…。そんなことで思い悩んだことはないだろうか?

 自分の話で申し訳ないが、筆者は大学卒業後、スーパーでバイトをしながら、フリーターをしていた時期があった。その間、周囲から就職や将来を心配される度に、心臓がキューッと縮こまり、どこかに隠れたいような気持ちになったことを、忘れることができない。

 だが、この世には自分がどんな立場であろうと、世間の声などものともしない猛者がいる。

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 彼らはいつだって、自分の望みから目を逸らさず、周囲も巻き込み、堂々と人生を歩んで行くのだ。正直、うらやましいことこの上ない。

『プレイボーイ侍』(原克玄/秋田書店)は、そんな自信に満ちあふれた「宇宙一モテる男」が登場する4コママンガだ。

 物語は、都内の三流大学に通う小向くんが、出会いを求めバイトを始めたスーパーで、同時期に入った31歳・フリーターの天谷さんの、やる気のない勤務態度にうんざりする所から始まる。

 しかしながら、小向くんはすぐに、天谷さんのとんでもない一面を知ることとなる。

 なんと天谷さんは、スーパーの女性全員を抱いていたのだ…! 女子大生のモエさんも、ギャルのヒロミちゃんも、パートの柴田さん(54)も、交代制で持ち帰り、美人もブスも平等に雑に扱っていた。

 天谷さんは、「将来も金も地位もいらねぇよ 今日その日SEXのめどが立てばそれでいい」というスタンスで生きており、70人~80人の彼女(?)がいるため、ずっと彼女がいない小向くんのことが信じられない。

 そこで、バイトの男性陣を巻き込み、「全員その日にヤラせる事」を目標に、合コンを開くことにするのだが――!?

 天谷さんは、「モテたいしかわいい彼女も欲しいし それでいて色んな女の人とSEXもしたいです!!!」という小向くんの本心を認め、バイトの男性陣に、深みが感じられるような、実際そうでもないようなアドバイスを次々に繰り出す。

 例えば、合コンでは、「俺達の今をいかにより良い未来に見せられるか」が勝負だと考える天谷さん。クリエイター系広告代理店の先輩後輩で、出身は慶應…という設定で臨もうとするのだが、バイトの宮下は、「男としてのプライドがある」という理由で嘘を反対する。

 すると天谷さんは、宮下に凄みを利かせ、

「そんなプライド捨てちまえよ お前ヤリたいんだろ!! だったらヤる事だけに集中しろ!! 雑念は捨てろ!!」

 と、言って聞かせるのだ。

 また、かわいいを超える女への最新のほめ言葉は「面白い」だと断言し、

「今は国民総芸人世代 女もみんな面白いと思われたいんだ 特に美人はかわいいを言われ慣れ過ぎてる 面白いだ!」

 そんなふうに理由を説明するのだが、思わず「そうかも…」と感心してしまった。

 バイトの男性陣は、天谷さんの豊富な経験が詰まったアドバイスのお陰で、積極的に女性と交流し、出会いの幅を広げて行く。

 筆者は女性なので、男性の下心や本音に、唖然とした場面も多かったのだが、全ての女性から「かわいい」を引き出す天谷さんをちっとも憎めなかったのも本当である。

 常人には理解できない発想と行動力で女性と向き合う様子に、最初から最後まで驚嘆と爆笑の嵐であった。周囲の目など1ミリも気にせず、己の哲学をしっかり持つ彼のカリスマぶりを、ぜひしっかり目に焼き付けてほしい。

文=さゆ