「文化祭で告られなかったら俺から告る」──もどかしさMAXの恋愛頭脳戦に新展開! 全力で空回りする恋にニヤニヤが止まらない!

マンガ

更新日:2019/3/4

『かぐや様は告らせたい~天才たちの恋愛頭脳戦~』(赤坂アカ/集英社)

 「恋愛は惚れたほうが負け」なんて言葉、誰しも一度は聞いたことがあるはず。好きな相手だからこそ素っ気ない態度を取ってしまうという「好き避け」経験者も少なくないだろう。恋愛は勝ち負けではない。とはいえ、追う側よりも追われる側のほうが立場が強くなりやすいのも事実である。パワーバランスを自分優位に傾けるようあれこれ考える、その駆け引きすらも恋愛の甘酸っぱさを生んでいる。

 だが、『かぐや様は告らせたい~天才たちの恋愛頭脳戦~』に登場するのは、そんなキャッキャウフフにうつつを抜かす凡百とは次元の違う天才である。物語の主役は、エリートの集う秀知院学園で生徒会長を務める白銀御行と副会長の四宮かぐや。ふたりは両想いにもかかわらず、高すぎるプライドが邪魔をして素直になれない。「四宮がどうしても付き合ってくれって言うなら考えてやらん事もないがな……!」「向こうが跪き、身も心も故郷すら捧げるというなら……」などと考えているうちに月日は流れ、いつしか「いかにして相手に告白させるか」ばかり考えるようになってしまった。一緒に映画を観に行くだけでも権謀術数をめぐらせ、『カイジ』ばりの頭脳戦を繰り広げるさまは、まさにIQの無駄づかい。「いいからYOUたち付き合っちゃいなよ!」とじれったく思いながらも、そのむずがゆい関係に心地よさを感じてしまう。このもどかしさがクセになる人が続出し、コミックス発行部数は累計400万部(※電子版を含む)を突破! 1月12日からはテレビアニメの放送もスタートする。最新PVも公開され、早くも注目を集めている。

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 同じ生徒会メンバーの藤原千花や石上優を巻き込みながら、一歩進んで二歩下がるような恋愛模様を繰り広げてきた白銀とかぐや。だがコミックス11巻のラストでは、ついに白銀が一大決心をする。海外進学を控え、残された時間が少ないことを悟ったため、「文化祭の最終日までに四宮から告られなかったら俺から告る」と決意したのである。そして12巻、羞恥心とプライドをかなぐり捨てた白銀の猛攻がスタート。恥ずかしさを隠すために血が滴るほど拳を握りながらも、「四宮のコスプレ、凄く可愛いぞ」「他の男どもに四宮の肌をジロジロ見られるのは我慢ならない」と強打を連発! 一方、四宮も文化祭準備を通じて白銀の魅力を再確認。侍女の早坂に、白銀への恋心を打ち明けるまでになる。さらに、彼らがどのようにして出逢い、互いに惹かれ合っていったのかという1年次のエピソードも明かされ、1月18日発売の13巻へとつながっていく。

 2日間にわたる文化祭が終わるまでに、かぐやは白銀に思いを告げるのか。それとも、白銀が告白するのか。「いかにして相手に告白させるか」という頭脳戦は、「どちらが自分の思いを抑えきれなくなるか」という我慢大会のような雰囲気に。恋心が加速するほど二人の空回りも大振りになり、おかしみも倍増。腕相撲で互いの手を握り合う幸せを噛みしめつつも、手汗が気になって馬鹿力を発揮し、「マッスルクイーン」の称号を得てしまうかぐや、努力家ではあるがポンコツでファッションセンスがザ・中学生な白銀など、キャラクターへの愛着が増すエピソードもたっぷり詰め込まれている。彼らが愛おしすぎて「早く幸せになって」と願わずにいられないが、その反面、彼らの日常をいつまでも眺めていたい気持ちにもさせられる。なにはともあれ、13巻ではいよいよ文化祭が開幕。不器用すぎる恋の行方をニヤニヤしながら見守りたい。

文=野本由起