子どもなのか大人なのか。小学五年生が主人公の、胸がキュンとなる短編17話

小説・エッセイ

公開日:2012/4/9

小学五年生

ハード : PC/iPhone/iPad 発売元 : 文藝春秋
ジャンル:小説・エッセイ 購入元:電子文庫パブリ
著者名:重松清 価格:378円

※最新の価格はストアでご確認ください。

教育雑誌や児童書などでおなじみの作家・重松清による胸キュン17話の短編集。主人公はいずれの話も小学5年生の男の子です。引越しを経て、父の死を乗り越えて、両親の離婚を受け入れて…小学5年生たちが必死に、健気に、全力で成長していくさまが、作者の温かいまなざしにより、感動的に描かれています。

advertisement

小学5年生は、年齢でいうと10歳か11歳。年齢が2桁になって、なんだかちょっと子どもから抜けだしたようにも見え、でもふとしたところで「あぁ、やっぱり子どもなんだなぁ」と大人の頬を緩ませてみたり。

「スキャモンの発達(発育)曲線」がよく持ち出されますが、子どもの発育発達において、9歳から12歳頃は“ゴールデンエイジ”の時期と呼ばれます。神経系の発達がほぼ完成され、安定感を見せることから、あらゆる物事をまるで魔法にかかったように短時間で習得できることから、注目されているのです。

例えば、勉強をすればするほど吸収していくので、中学受験を見据えてこの時期から学習塾に通う子どもが多かったり、スポーツクラブでメキメキ力を伸ばして大人を驚かせたりします。

技術面で急になんでもできるようになるので、本人や周囲が「急に大人になったなぁ」と思う一方で、精神的な成長は追いついておらず、前述のような「意外に子ども」などとギャップを感じてしまうのかもしれません。

ちなみに、荒れる成人式など若者の精神的な幼さがよく取り上げられるなか、最近の小学校では(10歳…小学校4年生において)、10歳は二十歳の半分ということで、「2分の1成人式」を設け、子どもに大人の入口を意識させることもあります。

子どもと捉えるべきなのか、大人扱いをしてもよいのか。
微妙な年齢の小学5年生が主人公だからこそ輝くお話に、当時の記憶をよみがえらせてみてください。


表紙ページをめくると、印象に残るこの一文。誰もが一度は経験する小学5年生

目次その1。タイトルをクリックすると先頭へ移動できる

目次その2。タイトルからドラマが感じられる

大人の入口である小学5年生特有の感性。共感してしまう

でもやっぱり小学5年生は子どもだな、と思う部分が随所にあり、クスっとさせられる