人間関係の悩みを表情で解決。ビジネスに活かせる正しい笑顔をつくるトレーニング

ビジネス

公開日:2019/1/14

『ビジネスに効く 表情のつくり方』(清水建二/イースト・プレス)

「頑張っているのに上司にやる気がないと言われる」、「部下に気を遣っているのに伝わらない」、「笑顔で接客したら不真面目と怒られる」、「誠意を尽くしているのに顧客の信頼が得られない」。こうした対人関係の悩みはみなさんにも覚えがあるのではないでしょうか。その原因は努力や能力が足りないのではなく、顔の表情にあるかもしれません。

『ビジネスに効く 表情のつくり方』(清水建二/イースト・プレス)は、営業や接客、面接、職場での人間関係を円滑に進める「ノンバーバル・コミュニケーション」の悩みに答える本です。

「ノンバーバル・コミュニケーション」とは、会話を行う「バーバル(口頭)」以外の「表情」、「しぐさ」、「声色」、「態度」で想いを伝えるコミュニケーション手法のこと。

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 顔は口ほどにものを言う。私たちは日常生活でも無意識に相手の顔色を読み取っています。会話に合わせて相槌をうったり表情を動かしたりすれば、「自分の話を聞いてくれている」と安心感を与え、反対に真顔で無反応であれば「この人は話に興味がないのだろうか」と不安にさせてしまいます。

 ちょっとした心がけと訓練次第で気持ちの込もった表情は身につくといいます。本書では、まず基礎となる3つの原則を挙げています。

自己表現のための三原則
・本当の感情を土台にする。
・言葉とノンバーバル・シグナル(感情表現)を一致させる。
・相手の感情の流れを読む。

 笑顔であっても、怒りをこらえた笑顔、目が笑ってない笑顔などでは違和感を与えてしまいます。楽しい、うれしい記憶を思い出して自然に出てくる笑顔をベースにしましょう。

 接客の基本は笑顔といわれますが、こちらが謝罪する場面で「申し訳ありません」と言いながら笑顔を浮かべてしまっては、相手に謝意が伝わりません。言葉に相応しい表情の使い分けが必要です。

 相手の感情を読み取って返すことも重要です。プレゼンテーションの途中で相手が熟考しているようであれば詳細な情報を付け加え、不安な表情を浮かべていれば疑問点や問題点を尋ねてみるべきでしょう。

 では、具体的に正しい表情とはどんな顔なのでしょうか。笑顔のつくり方について、次のポイントを挙げています。

・頬を引き上げ、目じりにしわができる。
・口角を引き上げ、ホウレイ線が斜め上に広がり、線が濃くなる。
・口を開けて上下の唇を自然に離す。

 このとき顔が左右対称になるように注意してください。左右非対称だと軽蔑やネガティブな印象を与える印象になってしまいます。実は笑顔は喜怒哀楽の表情の中でも難易度が高いのだそうです。

 なぜなら、私たちは普段からつくり笑いに囲まれていて、笑顔の違いに敏感だから。デパートやホテルなどの従業員が毎朝笑顔の練習から業務を始めるというのも、それだけ難しいからなのでしょう。

 本書では、図解つきでさまざまな表情のつくり方を解説しています。鏡の自分の顔とお手本を比べながらトレーニングしてみてはいかがでしょうか。

 最新の研究では、笑顔をつくることでストレスホルモンを抑制する効果があることがわかってきたといいます。ストレス対策のメンタルコントロールとしても、表情のつくり方は現代人の必須スキルなのかもしれません。

文=愛咲優詩