稲垣吾郎主演映画『半世界』を予習! 家庭も仕事も悩みが尽きない39歳男3人、人生どうなる?

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2019/1/15

『半世界』(豊田美加:著、阪本順治:脚本・監督/キノブックス)

 生まれ育った町で、亡き父の跡を継ぎ、炭焼き職人を営んでいる高村紘。妻・初乃との間には、中学生のひとり息子・明がいる。紘は思春期で毎日不機嫌な明のことが、最近さっぱりわからない。ある日、小学生からの旧友である沖山瑛介が自衛隊を辞めて、8年ぶりに故郷であるこの町に帰ってきた。瑛介の母はとうに亡くなっており、家は荒れ果てていた。紘は同じく幼馴染みの光彦にも声をかけ、瑛介の家の修復を手伝う。なんとか住めるようにはなったものの、瑛介は雨戸を閉めたまま引きこもっている。

 39歳の男3人、それぞれ歩んできた人生や背負っているものがあり、昔と変わらない友情もあれば、子供の頃のように屈託なく話せることばかりでもない。瑛介は何があって自衛隊を辞めて帰ってきたのか。妻や子との関係。淡々と炭を焼く紘の生活の中で、それぞれの心の機微や関係性の変化が描かれる。

 2019年2月15日から全国公開となる映画『半世界』。映画は、脚本・監督の阪本順治によるオリジナル作品で、主人公の炭焼き職人・高村紘を稲垣吾郎が演じる。紘の中学時代の旧友の元自衛隊員・沖山瑛介は長谷川博己が、紘の妻・初乃は池脇千鶴が、紘と瑛介の同級生で、中古車販売を地元で営む岩井光彦は渋川清彦が演じる。ノベライズは、ドラマ「SPEC」シリーズや、『おんな城主直虎』、映画『響~小説家になる方法~』など、多くの映像作品のノベライズを手掛けてきた豊田美加が担当している。

 本作のように映画をもとに書かれた作品の場合、やはりどうしても実際の出演者を念頭において読み進めることになる。稲垣吾郎というスターのイメージを持ったまま、小説を読み進めると、紘という人物は、今まで稲垣が演じてきた役柄とは異なるキャラクターに感じられ、はじめは意外性を覚える。しかし読み進めていくうちに、紘という人物が脳内で稲垣吾郎という俳優の体を持って動き始め、説得力のあるキャラクターになっていく。

 映画を楽しみにしている人は、ストーリーのネタバレにならないよう、映画の鑑賞後にノベライズを手に取ることが多いかもしれない。そこで小説が果たす役割は、映画の追体験だ。しかし、あえてノベライズを先に読んで、自分のイメージの中の俳優たちと、実際の映画とを比べるというのも楽しいかもしれない。豊田美加の筆致は、情景が思い描きやすく、物語の中にすんなり入れるよう誘ってくれる。

 映画『半世界』と小説『半世界』を比較する。メディアミックスの正しい楽しみ方である。

文=藤村恭子