「何をやってもうまくいく」も「なぜかうまくいかない」も脳のパターンが決めていた! “無意識のクセ”を把握してみよう

ビジネス

公開日:2019/1/16

『なぜかうまくいく人のすごい無意識』(梯谷幸司/フォレスト出版)

 世の中にはいわゆる“成功者”たちの本が溢れている。起業家、投資家、社長、コンサルタント…。だが、「いつかこんな成功を!」と夢見てページをめくりはじめても、彼らの思い切った行動や、飽くなき向上心に自分との違いを感じ、「自分にはムリだ」と感じてしまうこともある。

 そんなときに読んでもらいたいのが『なぜかうまくいく人のすごい無意識』(梯谷幸司/フォレスト出版)だ。本書は、いわゆる成功者たちの“無意識のクセ”を分析し、彼らがビジネスでどんな価値判断を行っているのかを解説している。本書を参考にすれば、今の自分と成功する人の“違い”を客観的に見つめ直し、何を変えればよいかがわかるはずだ。

■成功者は何を考えている? パターン化して見てみると――

 本書では、私たちが物事を決定する際の無意識の判断基準やクセを“メタ無意識”と呼んでいる。

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 例えば、人生における選択について考えてみよう。あなたは大学や会社を選ぶとき、何を基準に決めただろうか。この場合、大きく分けて2つのパターンがある。「自分の基準で決める(内的基準)」と「周りの基準で決める(外的基準)」だ。著者の主張は、こうした“メタ無意識”が日々の選択、ひいては人生の質そのものも変えていくというものだ。

 著者は、NLP(神経言語プログラム、詳しくは本書を参照)をベースに、哲学や禅の要素を取り入れながら、私たちの“無意識のクセ”を14のパターンに分類している。著者によれば、パターン自体に良し悪しはないのだが、成功者には共通の傾向があるのだという。例えば、「主体性」や「動機づけの方向性」の項目を見るとこうだ。

【パターン1 主体性】
主体行動型=何かをしようと思ったとき、すぐ行動に移すパターン

反映分析型=何かをしようと思ったとき、「どういう結果になるか」を考えたり、「うまくいくかどうか」を調べたりしてから行動に移すパターン

 主体行動型は、能動的に動くことができ、失敗してもすぐに改善できることから、一般的によい結果を得られる。起業などのビジネスで成功した人たちは、「やろうと思ったことは今日着手する」というくらいに主体行動型であることが多いという。

 だが、ここで注意してほしいのは、それがすべての業界・職種に当てはまるわけではないということ。例えば、ちょっとでも失敗したら取り返しのつかないようなインフラ系の仕事に関わる場合は、綿密な計画が不可欠になるだろう。

【パターン2 動機づけの方向性】
目的志向型=「結果を手に入れる」「思い描くものを実現化させる」というモチベーションから行動するパターン

問題回避型=「問題を避ける」「よくない結果を現実化させたくない」というモチベーションから行動するパターン

 仕事をするモチベーションにおいては、「こんな社会を実現したい」という動機が目的志向型、「貧乏になりたくない」という動機が問題回避型である。当然、起業家や成功者たちの多くは目的志向型だ。著者によれば、医者などは基本的に問題回避型であるが、最近は目的志向型の病院も現れているという。

 例えば、ある整体院では、ぎっくり腰やむちうちを治していたものの、そういった“問題回避”をするだけではリピーターの利用客が増えずに経営的に困っていた。そこで、施術中には顧客が催眠に入りやすいことを利用して、彼らを願望達成に導くトークをする“目的志向型”のビジネスを開始。すると、定期的に訪れる顧客が急増したのだという。

 本書では他にも「喜びの判断基準【他者基準・自分基準】」や「物事のとらえ方【悲観基準・楽観基準】」などのパターンと、それらがどんな状況で効果的に働くのかを解説している。成功者たちの“無意識のクセ”を本書で体系的に知ることができれば、今自分の目の前にある仕事に合わせて臨機応変に対応できるはずだ。

文=中川 凌