仕事への“一途さ”は命取り!?——「複業」で人生もお金も手にする方法

ビジネス

2019/1/21

『複業の教科書』(西村創一朗/ディスカヴァー・トゥエンティワン)

 2018年は“副業元年”だった。多くのメディアで副業に関するニュースを流した。平成30年は、私たちの働き方が大きく変化し始めた年だ。

 けれども就業規則に縛られて動けなかった人、なんだか面倒で静観していた人、副業っぽいことを始めて成功した人・失敗した人。それぞれの立場で副業を見つめていたはずだ。これから社会はどんどん副業を受け入れる態勢に移るだろう。

 しかし、これからの時代、真に目指すべきは副業ではない。“複業”だ。『複業の教科書』(西村創一朗/ディスカヴァー・トゥエンティワン)は、副業の先の“複業”を先取った1冊である。

 終身雇用や年功賃金が崩壊しかかった日本社会において、いつまでもたった1つの会社に“しがみついて”働き続けるのは、必ずしも正しくない。本業に加えて、長期的に働き続けられる仕事を別に手にするべきではないか。著者はそう訴えている。

■一生1社に勤める時代は終わりに近い

 そもそも副業と複業の違いは何だろうか。著者は、副業は持続や発展を前提としないお小遣い稼ぎであり、複業は本業ではできない“やりたいこと”へのチャレンジ、と表現する。前者はお金のために働くけれど、後者は“やりたいことをやる人生を取り戻す挑戦”というイメージだ。

 ご存じの通り、世の中には自分の望んだ職業や業務に就けない人が多い。本当にやりたいことを本業にできた人は、世の中で一握りしかいない。だからといって転職するのは勇気が必要だし、起業やフリーランス化はさらなる度胸を要する。

 そこで“お試し”的に挑戦できるのが複業だ。本業を続けながら、本業以外の時間で自分のやりたかったことに挑戦してみる。失敗してもちょっと痛い程度。今までの仕事人生はなくならない。“安全地帯”からまた別のものを挑戦すればいい。そして成功したら、本業を乗り換えればいいのだ。

■たった1人でもお客さんがいれば複業は成立する

 複業を始める一番の目的は「やりたいことをやる人生を取り戻す」ことだが、いくら稼げるかも同じくらい重要だろう。

 そこで重要になるのが、お金を稼ぐ場所「マーケットプレイス」を探す視点だ。誰もがランサーズやクラウドワークスなどのマッチングプラットフォームを耳にしたことがあるはず。ライティング・翻訳・アフィリエイト・スキル販売・家事代行・建築など、多岐にわたる複業を選択できる。自分のスキルがいくらになるのか、これらのサイトでチェックしてみるのがオススメだ。

 一方で、これらのプラットフォームを利用せずに自力で複業を立ち上げることも可能だ。たとえば「南米に生息する蛇のまとめサイトを作ってみた」など、自分ならではの視点で作ったコンテンツがマーケットにハマることもある。どれだけニッチな層でも、たった1人でもその「商品」を必要としてくれるならば複業は成立する。ニッチなジャンルで複業を始めたい場合、SNSでニーズを確かめるなどして、それがいくらになるのか調査してみよう。

 大切なのは、とにかく行動してみること。商品になりそうなものを考えて、自分にできる範囲で展開してみる。それだけだ。

 だが、そんなお試し程度の複業も、軌道に乗れば「もっと拡大したい!」という欲が出る。本書では、複業を発展させるコツや失敗のパターンを紹介している。

 失敗の典型例として挙げているのが、「オーバーワーク」だ。複業に失敗する人は、自分で「働かなきゃ!」と焦って過労し、失敗してしまうのだという。

■一番危ないのは副業できる環境にいるのに何も行動しないこと

 倒産した企業に見られる傾向の1つとして、取引先を“1社依存していた”というのが挙げられる。1つの取引先から大量の発注を得て十分な稼ぎを実現できれば理想だ。しかし、その取引先が何かの不幸で倒産してしまったときや、提携を解消されてしまったとき、“1社依存”を抜け出せなければ倒産となる。

 これは“企業の倒産ケース”にありがちな話なのだが、終身雇用と年功賃金が崩壊しそうな日本社会において、私たちビジネスマンにも関係のある話になった。 1社依存は、私たちにとっても危険だ。会社に任せておけば一生面倒を見てくれる時代は終わったのだ。

 ならば、私たちはどうするべきだろう?

 思い切ってネットで副業に関するリサーチをしてみるべきか。本書を手にして“複業”のヒントを読んでみるべきか。とにかく一番危ないのは、副業できる環境にいるのに何も行動しないことだ。社会はすでにそうなりつつある。ビジネスマンならば誰もが身に染みて理解しているはずだ。

文=いのうえゆきひろ