「親は子どものためのATMじゃないよ」をどうやって伝える? あなたと子どものお金が増える大金持ちの知恵袋

ビジネス

2019/1/28

『あなたと子どものお金が増える大金持ちの知恵袋30』(菅井敏之/集英社)

 仮想通貨やキャッシュレス決済が普及するなど、次々と大きな動きが生まれている経済やお金の世界。そんなニュースを聞くと、現在ですらもわからないことが多いのに、我が子が大人になった頃にはどうなってしまうのかと、漠然とした不安を覚えます。将来子どもがお金に困らないようにするには、どうしたらいいのでしょうか。

『あなたと子どものお金が増える大金持ちの知恵袋30』(集英社)は、お子さんのお金教育に悩む大人に向けた本。著者である元銀行支店長の菅井敏之さんが、大金持ちである資産家たちから聞いた最高のお金教育を明かしてくれます。資産家が子どもたちに必ずしているというお金教育。果たして、一生お金に困らない法則とは? 大金持ちならではの視点とはどういったところにあるのでしょうか。

■「経営者の視点」を持たせよう。でもその方法は?

 大金持ちは外食に出かけると、その食事を待つ間に「このレストランで誰が一番稼いでいると思う?」と我が子に話しかけるそうです。アルバイトや店長よりオーナー社長のほうが稼いでいるだろう。いや、オーナー社長はスタッフのお給料やテナント料を支払うことになるから、このビルのテナントオーナーのほうが儲かっているかもしれない…と。目には見えない収入や支出を想定できるのは、経営者の視点。子どもを単に子ども扱いせず、ビジネスパートナーのように積極的にお金の話題を取り上げることが大事といえそうです。

■欲しいモノがある時には、子どもに「借金」させよう

 子どもから、おこづかいでは足りないような高額商品をねだられた――。本書は、そんな時に金利や返済期間などの条件を決めて、子どもに親から借金させることをすすめています。金利(単利と複利)、投資でよく使われる「72の法則」のことを教えるチャンスだからです。知識を得たお子さんは、月々にいくらずつ返済できるか、おこづかいでの返済は果たして現実的なのか…と、欲しいモノを手にいれるために真剣になって考え、子どもなりの「事業計画」を練るはずです。

 金利や「72の法則」については、本書でわかりやすく説明されているので、ぜひ大人も一緒に一読を。あなた自身のマネーライフにも役立つ話で、もう一度お金のことを学び直したい、と感じることもあるでしょう。

■目指すのは、お金を「もらえる人」

 これからは、暗号通貨によって国家の壁、通貨の国境がなくなっていく時代。そんななか、子どもたちは「人の助けを得る力」が必要だと著者は主張します。つまり、お金を「もらえる人」になるべきだと。

 人のためにお金を使う資産家たちは、そのお金が「もっと大きくなって戻ってくる」ことを知っています。困っている人がいるところには、必ずビジネスが発生するからです。どんなに時代が変わっても、世界から「困っている人」はいなくなりません。だからこそ、お金を人のために使える人は、お金を「もらえる人」になれる、と著者は語ります。

■お金は人生の選択肢を増やしてくれる

 本書の読後に感じるのは、子どもに「お金は自分事」だと少しでも早く気づかせたほうがいい、ということ。子どもであっても、家庭で1カ月にどれだけのお金を使っているのか、いくら貯蓄しているのか、その内訳を知っているべきだし、親はキャッシュディスペンサーではないと分かっているべきなのです。

 子どもが失敗しそうな穴を先回りして塞ぐのではなく、失敗しても立ち上がれる力をつけることが親の役目、という著者の言葉も心に響きます。「お金力」は、まさに親が子どもに与えてあげられるスキルのひとつ。これを身につけた子どもは、自分のお金スキルに自信を持ち、失敗を恐れず前に進んでいける大人になっていくはずです。

 本書には、お金をうまく使って、あなたと子どもの人生を豊かにする方法が詰まっています。しかも、お金が増えることにワクワクしながら、親子での会話を楽しめる内容ばかり。お金の知識に自信がない人も、本書があれば、自分も学びながら教えることができるでしょう。

文=吉田有希