こぐまと青年のホッコリ交遊『こぐまのケーキ屋さん』で、冬の夜長を乗り越える?

マンガ

更新日:2019/1/27

 仕事や育児、目まぐるしく変化する毎日。ふとした瞬間に「疲れた……」とつぶやいてしまうこともありますよね。疲れを癒やす方法は人それぞれですが、なかには優しさがあふれる本を読んで心をリフレッシュする、という人もいるのでは? 本特集では、疲れたあなたを包み込む「世界観が優しすぎるマンガ」をご紹介!

『こぐまのケーキ屋さん そのさん』(カメントツ/小学館)

 2017年、漫画家のカメントツさんがTwitterに投稿したある4コマ漫画が話題になりました。「ぎんのおかね」と題されたその作品は、こぐまのケーキ屋さんにケーキを買いに来た青年と、こぐまの店長の出会いが描かれています。

advertisement

 ケーキ作り以外のことを知らないこぐまの店長は、青年が支払った200円によって、初めて「ぎんのおかね」を目にしました。100円玉に目を輝かせて喜ぶ店長を見て「次は500円玉を見せようと思った」と、決意を新たにする青年。

 この作品をきっかけに、こぐまのケーキ屋さんは人気を集め、単行本はシリーズ累計50万部を突破した人気作となっています。

 同作の魅力はこぐまの店長の可愛さはもちろん、登場人物が優しさにあふれている点もポイントです。まず、店長に「ぎんのおかね」でケーキを買った青年は、店長と交流を深めて「てんいんさん」になり、ケーキ屋で働いています。てんいんさんは、学校やクリスマス、石焼きいもなど店長が知らないことをわかりやすく教えてくれたり、店長の失敗も優しくフォローしてくれたりと、とても頼れる存在。

 また、さまざまなことに挑戦するこぐま店長のサポート役でもあります。新作ケーキの試作はもちろん、ハロウィンには仮装をして、子どもたちと一緒に小学校にも通う、まさにアクティブこぐまなのです。チャレンジ精神旺盛な店長ですが、一度は小学校に行くことを諦めかけた過去も…。

店長「ほんとうは、しょうがっこうにいきたいです… でもぼくは、けーきやさんでいそがしいのでむりです」

てんいんさん「店長… やりたいことは、やってみればいいとおもいます… 僕も協力しますから…頑張ってください やりたいことのためにやりたいことをあきらめちゃダメです」

店長「ありがとうございます…」

てんいんさん「はい… 応援していますよ…」

「やりたいことのためにやりたいことをあきらめちゃダメ」……。大人になって、やりたくないことのためにやりたいことを諦めている人にとっては、なんだか心に刺さるものがあるのではないでしょうか。店長を見守り、そっと背中を押してくれるてんいんさん、ステキすぎる!

 こぐまと人の、不思議であたたかな交遊録『こぐまのケーキ屋さん』を読んで、冬のさみしい夜をしのぐのもいいかもしれませんね。

文=丸井カナコ