島耕作に学ぶ、ビジネスや人生で応用してみたい相手への“切り返し方”

ビジネス

2019/1/29

『マンガ『島耕作』に学ぶ 人生に効く「切り返し」術』(森山晋平:著、弘兼憲史:監修/講談社)

 オトコなら誰でも一度は憧れるオトコ、島耕作。早稲田大学法学部を卒業後、初芝電器産業株式会社へ入社。そこから40年の月日を経て、大企業の会長にまで成り上がった彼の物語は、日夜あくせく働くビジネスパーソンたちのバイブルにもなっている。

 彼が出世した背景にあるのは、頭のよさでも器用さでもなく彼自身が持つ「うまい切り返し」の仕方である。原作をたよりに彼の処世術を伝える本『マンガ『島耕作』に学ぶ 人生に効く「切り返し」術』(森山晋平:著、弘兼憲史:監修/講談社)を読めば、日常にありがちなコミュニケーションの悩みを解消できるはずだ。

■相手と“恥”を共有するのも大切

 友人の中国人女性・紫雷と一緒にフランス料理店を訪れた耕作。「ナイフとフォークの使い方がわからない」と彼女が言ったところ、彼は店員に「箸を下さい」と声をかけ、二膳の箸を用意させたという話がある。

 これは『常務 島耕作』(第2巻)で描かれた一幕だ。店員に声をかけたあと、紫雷は「こんなレストランで箸で食べるのとてもかっこ悪いよ」「でも私につきあってくれるなんて優しいよ」と耕作へ返すのだが、この話から学べるのは相手に「恥をかかせない」という教訓だ。

 誰かと一緒にいるとき、自分が「恥をかきたくない」と思うのは当たり前。しかしじつは、相手だけに恥をかかせず、一緒に共有するという意識も大切である。このような振る舞いをしれっとやってのけるあたり、耕作がいかに“モテる”かというのも伝わってくるエピソードだ。

■小さな変化に気づくと相手の心はくすぐられる

 飲み会が終わり、その後の二次会を断って帰ろうとする部下・鏡晴美の変化を察知した耕作。晴美が「あの…私ちょっと約束がありますからここで失礼させていただきます」と告げたのを見て、彼は部長の背中を押しながら「後で行きますから先に行ってて下さい」と促して、彼女の後を追った。

 その後、理由を聞いた耕作が「一緒に問題を解決しよう」と晴美を励ますこのエピソードは『課長 島耕作』(第13巻)で描かれた一幕だ。

 のちに晴美が耕作をますます信頼するきっかけになった話であるが、ここから学べるのは「相手の小さな変化を見逃さず、声をかけること」の重要さ。内面の変化は、注意深く見ていないと見た目の変化よりも気付きにくいもの。しかし、「なんだかいつもと違う」と気づいてもらえるだけでも、相手の心はきっとくすぐられるはずだ。

■言いづらいことをあえて言う姿勢

 若き日の耕作は、会長室に呼び出されていた。ある仕事をめぐり組織の問題点を尋ねられた彼が、物怖じせずに「初芝には会長に対して否定的なことを言える雰囲気がない」とハッキリと指摘するシーンがある。

 この一幕は『ヤング島耕作』(第3巻)で描かれている。上役に盾ついた彼は叱責されるかと思いきや、会長からは「キミに聞いてよかった」「この初芝の雰囲気をはっきり言ってくれたのはキミが初めてだ」と称賛されるのである。

 日本には“和を以て貴しとなす”という言葉もあるが、問題の核心を突く意見はなかなか言いづらいもの。しかし、本来「言いづらいこと」が今まさに「言うべきこと」である瞬間もある。あやふやなまま進んでいたことを、思い切って指摘すれば物事が好転する場合もあるのだ。

 さて、ここまで紹介してきたのはごく一部。本書には、仕事だけではなく人生のあらゆる場面でも応用が利きそうな立ち回り方が多数紹介されている。明日から、島耕作の生きざまをマネしてみるだけでも、きっと大きな変化が訪れることだろう。

文=カネコシュウヘイ