「毎日会社に行くなんて凄いな!偉い!」―いつも背中を押してくれる「励まし嫁」に励まされたい!

マンガ

更新日:2019/1/29

 ふとした瞬間に「疲れた……」とつぶやいてしまうこともありますよね。疲れを癒やす方法は人それぞれですが、疲れたあなたを包み込む「世界観が優しすぎるマンガ」で心をリフレッシュしてみませんか?

『励まし嫁 1』(スズモトコウ/KADOKAWA)

 日本の少子高齢化が進む一因に、未婚人口の増加がある。ひとりでいるほうが気楽であるとか、結婚しない理由は人それぞれにあるのだろう。ではそういう人たちが結婚したくなるようにするには、どうすればよいか。それは「結婚って素晴らしい」ということをアピールすればよいのだ。『励まし嫁 1』(スズモトコウ/KADOKAWA)を読めば、結婚を前向きに考える人が増えるかもしれない。

 本作の主人公・水戸明優は、会社で上司に叱られては落ち込んでいる、ちょっと頼りないサラリーマン。しかしそんな彼がメゲずに出社できるのは、奥さんである智秋の「励まし」によるところが大きかった。明優が「上司が自分の陰口を言っているのを目撃した」といえば「今からお前の良いところを百倍言ってやる!!」と返し、「特別なこと何もできない」と落ち込めば「毎日ちゃんと会社に行くこと自体、凄いことなんだぞ!!」とエールを送る。言葉遣いは男っぽいが、元気でいつも前向きに夫を励ましてくれる、よくできた奥さんなのだ。

 なぜ智秋はこんなにも前向きに、明優を励ますのか。それは実に単純というか当たり前の話で、彼女は夫のことが「大好き」だからである。彼女は「私はお前といるだけで幸せだ!!」と言って、満面の笑顔を見せてくれる。好きあって結婚したのだから当然のようにも思えるが、現実には当然でない夫婦のなんと多いことか。本編で智秋が明優に、家に帰らない社会人が増えていることを話す場面がある。そんな家庭環境を悲しく感じた智秋は「世の中の夫婦や家族が、ずーっと仲良い関係でいられたらいいのになぁ」とつぶやくのだ。仲睦まじいと思われていた夫婦の離婚が少なくないのも事実であり、やはり結婚生活を維持するには不断の努力を要するのだろうか……。

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 全身全霊で愛情を与えてくれる智秋に対し、報いたいと明優が考えるのは自然の流れであろう。しかしながら、会社で叱られてばかりの彼は、やることがどこかヌケている。智秋が「ちゃんとお友達くらいは作るんだぞ!!」と職場での人間関係を心配するので、家に連れてきた友人が職場の可愛い女性だったりするくらいヌケているのだ。おかげで智秋は夫の浮気を心配して悶々とするハメに……。とはいえ、智秋がパートからの帰りが遅くなったときは食事の支度をして待っていたり、彼女が風邪で倒れたときは献身的に看病をしたりする。「支え合うのが当たり前なのが、夫婦で家族ってもんじゃないかな」と語る明優の誠意は、誰よりも智秋には伝わっているのだ。

 お互い好きあっているからこそ結婚したはずなのに、離婚する夫婦は数多い。もちろんそれぞれに言い分はあるのだろうが、やはりそれは「自分」を中心に考えているからだ。明優と智秋の夫婦は、それぞれ相手のことを第一に考えている。そして相手を想いやることが、自身の幸福でもあるのだ。毎日一緒に暮らしていれば「欠点ばかりが目につく」などというが、悪い部分ばかりに目を向けるのではなく、相手のよいところを探してみてほしい。本作の智秋のように夫のどんな些細な長所でも本気で褒め称え、落ち込む夫を心の底から励ますことができれば、きっといつまでも夫婦円満でいられると思えてくるのである。

文=木谷誠