コスパ◎、ストレスなく“母娘旅”を過ごすためのコツ。大人として自立した今だから、母が旅のベストパートナーに!

暮らし

更新日:2019/1/30

『母とヨーロッパへ行く 母+娘=100歳~の旅』(講談社)

 大人になってから一緒に旅行する相手を探すのは案外難しい。昔はどこへでも連れ立っていた友達も、結婚したり子供がいたり、仕事が忙しかったりで、なかなか休みを合わせづらい。そんなとき、実は母親がベストパートナーになりうると語るのは『母とヨーロッパへ行く 母+娘=100歳~の旅』(講談社)の著者・太田篤子さん。

「大人になって一緒に旅行しているというと、もともと仲良し母娘だったと思われるかもしれませんが、実はそういう背景とも少し違います」と書くとおり、別に友達母娘みたいな関係でなくてもいいのだ。心の距離が近すぎる分、友人同士ならありえない喧嘩をすることだってあるだろうが、それで関係が破綻することもない。同じ家庭に育った――というより基本的には母の躾と教育を受けて大人になっているのだから、居心地のいい空間や金銭感覚なども似てくるし、その“気楽さ”は友達同士とはまた違う得難い利点なのである。

 とはいえ、高齢の母親連れの旅となると、心得ておくべきことも変わってくるもの。本書ではコスパよくストレスなく過ごすためのコツが紹介されている。

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■体力に合わせて旅するため、重要なホテル選びのコツ

「高齢の母との旅行で一番大切なのは、母自身の体力と元気」という著者。LCCは確かに安いがその分乗り換えが不便で歩かされることも多い。ホテルも交通の便がいいに越したことはない。そんなとき、グーグルマップと画像検索を駆使して、予算に見合った居心地のよいホテルを見つける必勝ワザを伝授。どんな口コミに注目すべきか? 格安の宿泊予約サイトを利用しないのはなぜか? 急な体調不良を考慮して、フロントに24時間スタッフが常駐しているホテルを選ぶなど、おさえておくべきポイントは? 母との旅ならずとも「高級ホテルに泊まるほどの予算はないけど、安宿に泊まって無駄に疲れるのはもういやだ」という大人の女性も必読だ。

■母娘旅の防犯対策はどうする?

 大人なんだからそれぞれ自己責任で……とはいかないのが、母娘旅。若いときから頻繁に海外に行っていたわけでもなく、インターネットが不得手で、英語も話せないとなれば、娘の役割も増える。大事なのはまず「母と離れない」、そして万が一のときの待ち合わせ場所を決めておくこと。治安はしっかりチェックして、過度な装飾品やブランド物を身につけることは控えるべし。母親のタイプにもよるけれど、何かあったら全部自分がなんとかするという気構えで、注意すべき&下調べしておくべきポイントも教えてくれる。

■「見た目が大事」なヨーロッパでするべき、大人同士の服装

 防犯上、体力上、荷物は最小限におさえたいなか、一番迷うのが洋服だろう。汚れにくい格好がいいけど、ヨーロッパはわかりやすいくらい見た目を重視するから、ホテルやレストランでは格好によって扱いも変わる。身なりひとつで、快適な時間が過ごせるかどうかが決まるのだ。

 太田さんは“少数精鋭主義”で、素材感と着回しやすさを重視。掲載されているコーディネート例を見ると、動きやすそうではあるけれどカジュアルすぎない、“きちんと感”が表れている。各シーンでのコーディネートのポイントはもちろん、小物の合わせワザなども参考になる。



 母連れでなくても、個人手配の旅行でタメになるコツが満載なのだが、行間から著者の母への想いがにじみ出るエッセイ調の文章も本書の魅力のひとつ。そう言えば最近、一緒の時間をつくってないな……という人はぜひ、母娘旅にトライしてみてはいかがだろうか。

文=立花もも