「狭くてきつい」はもう古い! 夜行バス旅ならではの魅力を再発見!

暮らし

2019/2/10

『夜行バスで出かけましょう』(小川かりん/イースト・プレス)

 旅行に出るとき、あなたならどの交通手段を選ぶだろうか。長距離の移動ともなると、飛行機や新幹線などを選ぶ人が多いだろう。早くて快適に移動できるのが魅力のこれらの交通機関だが、運賃が高いのが難点だ。なるべく安く旅行したいという人には、ぜひ「夜行バス」という選択肢があることを知ってもらいたい。かくいう私自身も、社会人2年目くらいまでは夜行バスを利用して多くの土地を訪れた経験がある。夜行バスには「狭くてからだがきつい」というイメージがあるかもしれないが、そんな夜行バスのイメージを覆してくれるのが『夜行バスで出かけましょう』(小川かりん/イースト・プレス)だ。

 岡山在住のイラストレーターである著者・小川かりんさんは大の旅好き。よく夜行バスを利用しては旅に出ているという。岡山から新宿までは10時間以上かかるが、夜行バスならではの旅を満喫しているようだ。夜行バスと聞いてまず気になるのが座席の狭さだろう。一人旅の場合は隣に知らない人が座ることになり、長時間至近距離で過ごすのを苦手とする人が多いようだ。しかし、最近の夜行バスは独立型の3列シートや2列シート、豪華なタイプになるとなんと個室タイプもあるという。これなら、夜も安心してぐっすりと眠ることができるだろう。また、長時間座りっぱなしのためレッグレストも完備している。

 長時間をどうやって過ごすかも問題だろう。基本的に高速道路などに入ると消灯するバスが多いというが、各座席に付いているライトを使用して読書やスマホの画面を見ることは可能だ。もちろん、周囲に配慮して携帯での通話は禁じられている。スマホでイヤホンを使用して音楽を聴いたり、旅行先の情報を調べたりする人も多く、各席に充電できるコンセントやUSBケーブルの差込口があるタイプのバスも少なくないという。車内でWi-Fiが使えるタイプのバスであれば、眠れない場合などに思う存分スマホで時間を潰すことができるのだ。

 快適な夜行バスの旅ができることはわかったが、著者は夜行バスの旅の醍醐味を他の視点からも紹介している。夜出発して早朝目的地に到着することが多い夜行バスならではの、旅の楽しみ方があるというのだ。まずは、朝早くはほとんどの観光地が混雑していないこと。人気の観光地ともなると、日中は混雑してゆっくりと過ごすことができないところもあるだろう。人の多さに疲れて、駆け足で観光してしまうなんてことも十分あり得る。しかし、朝早くであれば人が少なく、静かに思う存分観光できるというメリットがある。

 朝ならではの楽しみの一つが朝市やマーケットだと著者はいう。地元の食材や名産品が豊富にそろう活気ある朝市も、早朝に到着することでスケジュール的に無理なく訪れることができるからだ。できたてアツアツのごはんを朝食にするなんてきっと最高だろう。神社仏閣も早朝参拝であれば、心静かにお詣りができるというものだ。また、夜行バスの旅では必ず途中で休憩が挟まれるので、各地のサービスエリアにも立ち寄ることができる。昼間とは異なった雰囲気が漂うサービスエリアで、トイレ休憩はもちろん、しっかりと体を伸ばして温かい飲み物やお土産などを買うのもいいだろう。

 早朝であれば到着先の駅のロッカーも比較的空いており、女性が利用するパウダールームもきれいなところが増えているという。そのようなサービスがあるかどうかで利用するバス会社を選ぶのもいいだろう。

 日帰り旅の予定であっても、早朝から夜遅くまでたっぷりと時間を使うことができるのもうれしい。このように、夜行バスの旅のメリットを数えあげるとキリがない。一昔前の「つらい夜行バス旅」のイメージを覆してくれる発見が本書にはぎっしりと詰まっている。車内に持っていくと便利なグッズの紹介もあるので、本書を参考に、安くて快適な夜行バスの旅を早速計画してみてはいかがだろうか。

文=トキタリコ