「出社時間は守るべき?」「嫌な仕事から逃げていい?」あたりまえの常識を疑うことで、自分らしい働き方を探そう!

ビジネス

公開日:2019/2/8

『あたりまえを疑え。 自己実現できる働き方のヒント』(澤 円/セブン&アイ出版)

 世の中には「昔からやっている」という理由で続いているものがたくさんある。たとえば、多くの企業で10月1日に行われる内定式。入社の半年前に学生を集め、彼らの入社意思を最終確認する意味合いを持つ行事だが、実際には学生はその後も内定を辞退できるため、あまり意味はない。筆者が今春から勤務予定の会社では、この年度から内定式がなくなった。もし、社員の誰かが「内定式は不要ではないか?」と提言し、上司や組織がそれを認めたのだとしたら、なかなか合理的な判断である。その結果、学生も会社もその日1日を別の有意義なことに使うことができる。

『あたりまえを疑え。 自己実現できる働き方のヒント』(澤 円/セブン&アイ出版)は、まさにこうした“あたりまえ”に疑問を持ち、考え直すことで、より良い働き方を目指すための1冊である。著者の澤円(さわ・まどか)氏は、外資系大手IT企業で働く現役社員。“卓越した社員”として表彰された経験もあるという。そんな澤氏は、私たちの周りや、私たち自身の中にある“あたりまえ”を5つに分類して、ひとつひとつその常識を打破していく。

CHAPTER 01 時間・タスクを疑う
CHAPTER 02 ルール・慣例を疑う
CHAPTER 03 コミュニケーションを疑う
CHAPTER 04 マネジメントを疑う
CHAPTER 05 自分自身を疑う

 本稿では、「CHAPTER 01 時間・タスクを疑う」より、すぐに実践できるスキルを紹介したい。

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■無意味なことから「逃げる」のも大切な選択肢

 仕事をしていると、どうしても「興味がないこと」や「嫌々やっていること」に出くわす。日本の常識や社会観では、だからといって仕事から“逃げる”ことは良しとされていない。仮に上司に文句を言ったところで、「やりたいことばかりが仕事じゃない。つべこべ言わずにやれ!」と怒られるのがオチだろう。

 だが、著者は、「逃げる」という選択肢を持つことの重要性を語る。たとえば、仕事で苦手なことがあるのなら、その業務が得意な人を見つけておき、手伝ってもらえばいい。その代わりに、次には自分の得意なことで相手を助け、Win-Winの関係を築くのだ。嫌々やる仕事は、得てして時間ばかりがかかり、クオリティも高くないかもしれない。この“時間の貸し借り”を人の間でうまく行えば、お互いのストレスを減らしながら、限られた時間で効率よく仕事の成果を出すことができる。

■まず「疑う」ことで自分自身を磨いていく

 続く「CHAPTER 02」以降でも、著者はさまざまな“あたりまえ”を疑い、次々と独自の仕事論を展開していく。

 だが、読む前に注意してほしい。その内容を“疑うことなく”鵜呑みにするだけでは不十分だ。著者が本書で強調しているのは、自分の頭で考えることの大切さである。だから、本書を丁寧に読み解きながら、自分の頭でその内容を検討し、自分の身に照らし合わせてみるべきなのだ。こうして自分の血肉となった理論や思考は、必ずやあなたの人生にとって長く味方になってくれるだろう。

文=中川 凌