貯金をするなら7月と12月がおトク? やればやるほどトクをする定年後を賢く豊かに生きるお金の裏ワザ

マネー

公開日:2019/2/25

『定年前後「お金」の裏ワザ』(荻原博子/SBクリエイティブ)

 定年後はお金に困らず穏やかに生きたい。誰もがそう願うところだが、社会保障費の財源不足や消費税増税などのニュースを目にすると、「どうやらこのままではマズそうだ」という思いがよぎる。まだ現役で働く今のうちに、できることをしておきたい。老後の不安を少しでも減らしたい。

『定年前後「お金」の裏ワザ』(荻原博子/SBクリエイティブ)は、定年後の生活に役立ちそうな「知っていればちょっとおトク」で、簡単にできるお金の「裏ワザ」を集めた1冊。経済ジャーナリストとして名高い荻原博子さんが、お金に不自由しない老後の「賢い生活」を読者に手にしてもらうべく、やればやるほどトクをするお金の知恵を解説している。

■60歳以降もフルタイムで働くと年金がカットされる?

 老後のお金が不安で、「退職した60歳以降も働く!」と考える人も多いだろう。このとき気をつけたいのが、「給料」と「年金」を同時に受け取る場合。収入が多くなると年金をカットされる「在職老齢年金」が適応されるかもしれない。

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 在職老齢年金とは、受け取る給料と年金の合計が一定額を超えたら、年金の全額または一部をカットする制度のこと。対象となるのは厚生年金に加入している人だ。60歳から64歳までの場合、合計額が月額28万円以下ならば大丈夫。しかし28万円を超えると、受け取る給料と年金それぞれの額に応じた計算式で導き出されるお金が年金額からカットされる。

 たとえば、給料30万円と年金10万円、合計40万円を受け取る人の場合、なんと6万円もお金をカットされてしまうのだ。これは痛い。

 年金額のカットを避けるならば、まず働く時間を正社員の4分の3未満にして、厚生年金の被保険者の資格から外れよう。そして活用したいのが、「高年齢雇用継続給付」だ。これは60歳からもらう給料が、それまで働いて得た給料の4分の3以下に下がっていれば、雇用保険から減額後の給料の最大15%が支払われる仕組みだ。

 給料が30万円ならば、まず4分の3未満の22万円に下げてもらう。そして年金10万円と、「高年齢雇用継続給付」を活用して約3万円の給付を受け取ると、合計35万円を手にできる。

 このテクニックで増える額は1万円程度と少ないように感じるが、注目すべきは働く時間が短くなったこと。歳を取れば若い頃のように働けないもの。老後を豊かに暮らすには、お金だけでなく、無理のない生活を送ることも大切だ。

■貯金をするならば7月と12月がおトク?

 ようやく日本でも投資に注目が集まりつつある。「けれどもリスクが怖いから、やっぱり私は貯金がいいな~」という人は、「信用金庫」に注目してほしい。

 信用金庫は地域密着型の金融機関であり、地元企業の資金供給の役割を担う。そのため預金を集めて貸し出しを行って利ザヤを稼ぐ旧来的な仕事をしている。

 つまり地元の人々から預金を集めることが大事になるので、メガバンクが行わないサービス展開をすることも多い。たとえば城南信用金庫では、ソーラーパネルや蓄電池購入で10万円以上の投資をしたら、1世帯100万円を限度に定期預金の金利を1%に設定している。メガバンクの金利0.01%の100倍だ! さらに豊橋信用金庫の「子育て応援定期積金」では、店頭金利に利率0.2%が上乗せされる。

 また、信用金庫にとって最も資金需要が高まるのが、7月と12月。中小企業が社員にまとまった額のボーナスを出さなくてはいけないので、経営者がお金を借りに来るのだ。この時期になると通常の金利に特別金利を上乗せしたり、ティッシュやお皿などのノベルティーをつけたりするので、信用金庫で貯金をするならば7月と12月を狙おう。

 さらに信用金庫は、信用金庫を支える会員(=出資者)を求めており、彼らが出す出資金に配当を出している。配当金は4%や5%なんて当たり前、高知信用金庫では10%もあるという。しかしこちらは「限度額10万円」や「簡単に出資金を引き出せない」などのリスクもあるので、しっかりと確認してほしい。

■高額な医療保険は見直してみよう

 医療保険に高いお金を支払う人がいる。しかし日本は国民皆保険なので、病院で治療を受けても多くの人が3割負担だ。さらに医療費が一定額を超えたら、超えた分を払い戻す「高額療養費制度」もある。年収370万円から770万円の場合、入院によって月に100万円の医療費がかかっても、この制度を活用すれば自己負担は月8万7430円。370万円以下の年収になると、どれだけ医療費がかかっても月5万7600円に収まる。住民税非課税者はさらに安い。

 私たちはすでに国が保障する手厚い保険に入っているのだ。これに加えて民間企業が扱う高額な医療保険に入るべきか、加入プランを見直してほしい。

 老後を不安に感じるのは避けて通れない。先行きの見通せない日本社会で、誰もが自分の未来に不安を抱くのは仕方ない。だからこそ賢い人は不安を取り除くべく率先して行動している。

 老後に不安を覚える人はぜひ本書を活用し、定年後の人生に役立つお金の裏ワザを手に入れてほしい。本書で解説されるテクニックは、やればやるほどトクをする。老後の不安がやればやるほど解消されていくはずだ。

文=いのうえゆきひろ