「メンヘラな彼女と別れたほうがいいですか?」圧倒的中間管理職トネガワが迷える愚民に“悪魔的解決法”を提示する…!

エンタメ

2019/2/28

『中間管理録トネガワの悪魔的人生相談』(福本伸行:協力、萩原天晴:原作、三好智樹、橋本智広:漫画、奥津圭介:著/講談社)

圧倒的な「悪魔的解決法」を疑うことなく実行さえすれば、事態は一気に好転するだろう。なぜだかわかるか? 結局、そこまでの行動に出る人間が少ないからだ。

 冒頭から著者のものすごい“圧”を感じる本書『中間管理録トネガワの悪魔的人生相談』(福本伸行:協力、萩原天晴:原作、三好智樹、橋本智広:漫画、奥津圭介:著/講談社)は、今や説明不要の人気マンガシリーズ「カイジ」のスピンオフ作品である『中間管理録トネガワ』から生まれた自己啓発本だ。ビジネス、恋愛、家族、人生など…誰もが悩む問題に、「カイジ」シリーズでは敵役だったキャラクター・利根川幸雄(トネガワ)が、本編同様の圧倒的なパワーで答える。数々の苦難を乗り越えてきたトネガワの言葉は、きっとあなたの心にも響くはずだ。本稿では、本書に寄せられた23の相談のうち、筆者がハッとさせられた2つを紹介する。

愚民の問い
東京で15年、閑職の公務員をしていますが、未来が見えてしまうことに耐えられません。「定年したら地元で飲食店開業を」と考えていたのですが、今すぐに辞めて独立するべきか悩んでいます。

圧倒的…回答…!
愚鈍な者は決して優秀にならないが、優秀な者は容易に愚鈍となる。二流が地方で一流扱いされた時代の遺産……もはや通用せんわ!

 トネガワは、質問者はかつて優秀であったかもしれないが、15年のルーティンワークで愚鈍になっていると指摘する。だから、安易に起業するのではなく、「愚鈍なる己」を受け入れ、料理は趣味の範囲に留めておけばよい…というのが第1のアドバイス。それでも開業するというのなら、トネガワは「最低2度、チャレンジできる体制を整えろ」と語る。飲食店の世界は、7割近くのお店が2年以内に閉店してしまう。素人がいきなり始めたところで、ほぼ確実に失敗する。それならば、最初から失敗することを前提とし、それを活かせる体制をとっておきたい。未経験の分野に挑戦するのなら、それくらいの計画性は必要だ、と助言する。

愚民の問い
束縛しすぎる彼女と、今すぐにでも別れたいです。少し気に入らないことがあると「出ていけ!」と怒鳴るくせに、本当に出ていこうとすると刃物をふりかざして大騒ぎします。ひょっとしてメンヘラ? さすがに生命の危険を感じることも……。どうすればよいのでしょう。

圧倒的…回答…!
エキセントリックな本質に気づいていながら、1年も付き合っている矛盾……。お前、本当に彼女と別れたいと思っているのか? まだ何かに未練が……?

 これは手痛い指摘だ。トネガワは、質問者に対して「どこかウキウキして“彼女語り”をしたことはなかったか?」と問う。トネガワによれば、彼女との関係性をアピールし、自分と一体のものとして考える質問者は、“共依存”の関係に陥っているという。メンヘラな彼女との関係を切る方法は、支える気がないことを態度で示すこと。だが、このやり方では彼女が次なる依存先を見つけるだけなので、いっそ自分が“猛獣使い”となって彼女と添い遂げるのもアリ…というのがトネガワの結論だ。

 本書は、「はじめに」や各質問に対する回答、そしておまけの座談会にいたるまで、『中間管理録トネガワ』の世界観を忠実に守っている。本書を読んでいる間、ずっとトネガワと対峙している気分だった。

文=中川 凌