子育てママの心に染みる! 「これでいっか」とラクになる、暮らしのアイデア65選

暮らし

公開日:2019/3/2

『暮らしは今日も実験です 子どもと暮らす。母さんの工夫65』(本多さおり/大和書房)

 子育ての“正解”ってなんだろう? 過ぎゆく日々の中で、こんな疑問を自分に問いかけている子育てママは多いはず。自分が「母親」という存在になると、その見えないプレッシャーに押しつぶされてしまいそうになる。

 日々の生活に完璧を求めるのではなく、子どもの成長や家族のライフスタイルの変化によって暮らし方は柔軟に変えていけばいい――そう思うことができたら、心のモヤモヤはきっと晴れるはず。そう優しく諭してくれるのが『暮らしは今日も実験です 子どもと暮らす。母さんの工夫65』(本多さおり/大和書房)だ。

 料理をつくればキッチンは汚れ、子どもが遊べばリビングは散らかる。ごく自然なことなのに、つい完璧を求めて余裕を失ってしまう。本書はそんなピリピリした心にゆとりを生み出してくれる1冊だ。

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“散らかりは、人が暮らしているあかしだから。大切なのは、散らかってもすぐに整えることができる安心感。魔法じゃないんだから一瞬で片付くわけではありませんが、リズミカルに負担なくモノが片付いていく仕組みを作れたとき、暮らしはさらにスムーズで軽やかなものにできると実感しています。”

 そう語る本多さん自身も3歳と1歳の子を持つ子育てママ。現状に満足がいかないことが起きると、仮説を立てながら暮らしに風穴を開けようといろいろな実験をしている。そんな“実験マニア”な本多さんが行ってきた、オリジナルな暮らしのアイデアには子育てママの肩の荷を軽くしてくれる優しさが詰まっている。

■「お母さん」ではないときの自分を大切に

 子どもはかわいいし、家族も大切。…そうは思っていても、「お母さん」という仕事の重圧に押しつぶされそうになってしまうこともある。特に子どもが小さいうちは、育児と仕事や家事がうまく両立できず、つい夫に当たってしまうことも…。

 実は本多さん自身も過去には「正解の育児」を気にしすぎるあまり、心が沈み切ってしまう暗黒時代があった。そんな経験をしてきたからこそ、子育ての悩みや苦労はひとりで抱え込まず、ときには誰かに弱音を吐き、頼ることで「ママの保守管理」をしていくことが大切だと語っている。

 また、自分自身を労わるために時には、「ごはんづくりの呪縛」から逃げてみるのもひとつの策。家族の健康のためにいつも頑張っているママだって、夕食を作りたくない日はある。だからこそ思い切って、夕食をつくらない日を設けてもいい。

 本多さんの場合はお弁当やお惣菜を買ってきたり、近くに住んでいる実母におかずを持ってきてもらったりして月に数回、夕食をつくらない日を手に入れているそう。ごはんづくりの呪縛から解放されると、献立を考えたり食材を買いに走ったりしなくてもよくなるため、時間にも心にもゆとりも生まれる。

 余った時間は自分のごほうびタイムにできるというメリットもある。雑誌を読んだり、スキンケアに力を注いだりして、「お母さん」ではない自分を楽しんでいこう。

 子育て中は「やらなくてはいけないこと」が、頭の中に次々と湧き上がってくるものだ。しかし、頑張り続けていると生活は回っていても、心が置いてきぼりな状態になってしまう。真面目な人ほどがむしゃらに自分を酷使し続けてしまうが、「これでいっか」と、心身を甘やかす時間も大切にしてみてほしい。

■「育児がしんどい」を受けいれるとラクになれる!

「育児がしんどい」という気持ちに蓋をしながら、子どもの成長を見守っている子育てママは多いように思う。読者の中にも「このくらい平気」「辛いと思ってはいけない」と自分にムチを打っている方はいるはずだ。だが、「育児がしんどい」という気持ちを素直に受けいれてみると、逆に心がスーっと楽になることもある。

 SNSが盛んな近年は、他のママの姿を見て、「この人はこんなに楽しそうに育児をしているのに…」と、自分と比べてしまうこともある。しかし、その人にもきっとその人なりの苦労はあるはず。自分の辛さは自分が一番正確に知っているからこそ、ネガティブな感情に抗わないで、心を労わっていきたい。

 今まで蓋をしていた「しんどい気持ち」に気づいたら、夫や職場の仲間に救いを求めてみてほしい。例えば、子どもの成長や自身の体力を考慮して夫との家事分担を見直したり、職場での勤務時間を再検討したりして、自分が少しラクになれる方法を見つけていこう。

 現代の子育てママたちは日々に忙殺され、自分のことを二の次にしてしまいがちだが、自分や自分の家庭なりの“実験”をいろいろ繰り返しながら、ハッピーで笑っていられる暮らしを築きあげていけばよいのだ。

 子育てに正解がないように、母親像にも正解なんてない。ママだって辛いときは休み、救いを求め、弱音を見せてもいいのだ。「自分が頑張らなきゃ…」とプレッシャーを感じている方こそ、本書の提案する全65個の暮らしの工夫の中から、自分に合った実験にチャレンジしていってほしい。

文=古川諭香