目で、耳で、指で。宮沢賢治『銀河鉄道の夜』の芸術的な世界観を味わい尽くす

小説・エッセイ

2012/4/16

音楽絵本・銀河鉄道の夜

ハード : iPad 発売元 : takeshi sainen
ジャンル: 購入元:AppStore
著者名: 価格:400円

※最新の価格はストアでご確認ください。

童話作家・宮沢賢治の代表作『銀河鉄道の夜』がiPadユーザーとiPhoneユーザー向けに、「音楽絵本」になりました。

約80年前の童話が、読みやすく現代の言葉で復活。芸術性が高くキラキラと輝く絵とデザイン、繊細で空間の広がりが感じられる音楽が添えられて、『銀河鉄道の夜』の切なくも力強い世界観にどっぷりと浸ることができます。

本作のスペックは、下記のとおり。

●長編絵本で総ページ数はじつに501ページ
●全ての漢字にふりがなが添えられており、子どもも読める
●なめらかなスライド感でページ繰りがスムーズ
●回転して飛び出してくる星座盤のようなメニュー画面が使いやすくて美しい
●15曲のトイトロニカ(トイポップなエレクトロニカ)なBGMはすべてオリジナル楽曲

幻想的で透明感のあるガラスのようにデリケートな宗教的世界観が、原作に忠実に、しかし独創的かつ意欲的に表現されており「ほほう」「なるほどー」「いいなー」となります。ちなみに、絵は1年の歳月をかけて描かれたとのこと。

コアな“銀河鉄道の夜”ファンが楽しめるのはもちろん、子どもと一緒に、画面を指で触りながらあれこれ話をして、電子書籍ならではの楽しみ方をするのもオススメです。

ちなみに、幼児教育においては、右脳教育ブームに沸いた時期があり、今でも幼児教室などでカードの絵を次々と見せて右脳を鍛えていくという「フラッシュカード教育」が人気です。20世紀のはじめにイタリアの医学博士であり幼児教育者のマリア・モンテッソーリが考案した「モンテッソーリ教育」が源流にあり、この教育法においては感覚教育が大切にされています。具体的には、教具として使われるさまざまな大きさ、手触りをしたカラフルな木製玩具によって、子どもの五感を刺激していき、暗記によらない感覚的な能力や言語的な力を伸ばしていこうとするものです。

宮沢賢治の文章は、そのものを味わっても味わい尽くせないくらい奥が深いものですが、じつは複雑な世界観は大人でも正しく理解するのが困難だと思われます。子どもにとっては、いうまでもなく。

大人も子どもも、視覚、聴覚、触覚などを解放して、感覚的に宮沢賢治の世界を旅するのに最適な1冊です。


iPhone版のメニュー画面。どのページからでも、画面下にある汽車のアイコンをタップすると呼び出しができ、目次から好きなページに飛べる

冒頭。オルゴール音のようなトイトロニカなBGMが静かめに聞こえています

シーンが移ると、絵と音楽も変わります。天気輪の柱が蛍のように光りだして…

「銀河ステーション」と声がしたと思うと、目の前がぱっと明るくなり…

絵だけのページ。キラキラしたBGMが心地良い

気づいたら銀河鉄道を走る列車に乗っていた。ジョバンニの切ない旅が始まる