ちょっとした不調が男性更年期障害の予兆? 40越えたら誰もが対象者!? 気になる症状は…

健康・美容

公開日:2019/3/3

『うつかな? と思ったら男性更年期を疑いなさい』(堀江重郎/東洋経済新報社)

 男性の40代といえば、男盛り、働き盛りで、もっとも魅力に輝く時期だろう。しかし、現実には、「何もする気になれない」「気分がふさぎがち」…などの不調を感じ、「もしかしたら自分はうつなのかも…」と感じている方もいるのではないだろうか。そんな不安を感じた男性に手に取ってもらいたいのが、『うつかな? と思ったら男性更年期を疑いなさい』(堀江重郎/東洋経済新報社)だ。

 著者の堀江重郎氏は、日米で医師免許を取得し、泌尿器がんの手術や男性医学を専門とする医師。男の健康管理のスペシャリストであり、メンズヘルス外来のパイオニアでもある。本書では、その堀江氏がまだ世間的な認知度が高いとは言えない「男性の更年期障害」について詳しく解説している。

■男の更年期障害、その初期症状は意外と身近なものばかり

・最近まったくやる気が出ない
・朝立ちがなくなった
・夜、トイレに起きるようになった
・眠れない、朝起きられない
・暑くもないのに急に汗が出る

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 こうした症状は40歳を越えた男性なら誰もが感じたことのあるものだそう。多くの場合、「年だから」とか「最近忙しいから」などの理由で片付けられ、不調が長く続くと「もしかしたら、うつかも」となるのだが、実は一見ばらばらに見えるこれらの症状は、「男性ホルモンの減少」が原因で起きている可能性があるのだという。

 男性ホルモンにはいくつか種類があるが、その代表格と言えるのは「テストステロン」だ。このテストステロンは、胎児が「男の子」として生まれてくるために体内で大量に作るもの。その後も「男の子らしい」遊びを覚える2~3歳ごろ、男の子が大人の男性になる前の思春期に大量に作られ、男を男たらしめている物質だ。このホルモンはほかにも、

・骨や筋肉を作り、強さを保つ
・性欲や性機能の源
・血液を作る働き
・動脈硬化の予防
・メタボ(メタボリックシンドローム)の予防

などの働きをする。さらに精神面では、

・やる気
・判断力
・決断力

に大きく影響を与えるという。

 40代になると、このテストステロン(男性ホルモン)は徐々に減少するのだが、それが原因で起きるのが、“男性の更年期障害”だ。女性の更年期障害ほど知られていないが、男性にも更年期障害があるのが現実だ。

 そして、その多くは男性ホルモンの減少に伴う病気であり、ただじっと待っていてもよくならないというのだから、問題は深刻だ。ちなみに男性ホルモンが減少して更年期症状が出る病気を、男性医学の専門医は「LOH(ロー)症候群(late-onset hypogonadism=加齢男性性腺機能低下症候群)」と呼び、本書ではそれに関するセルフチェック表も紹介されている。

(1)最近笑っていない
(2)新聞が読めなくなった
(3)よく眠れない

 こういった自覚症状がある方は、男性ホルモンが減っている可能性が高いとのことなので、医療機関を訪れてみてはいかがだろうか。

■男の更年期障害はテストステロンを増やせば改善する。その方法は?

 男性の更年期障害はホルモン治療をすること、つまりテストステロンを増やすことで改善する。男性ホルモンの治療というと「精力増強?」と思ってしまいやすいが、けっしてそんなことはないそうだ。男性ホルモンが増えることによって、どんな健康増進効果が得られるかが、メンズヘルス外来のスペシャリストである著者によって詳しく解説されている。

 テストステロンを上げるための10カ条やテストステロンを増やす食事なども紹介されているので、普段の生活に取り入れてみるのもよいのではないだろうか。

“テストステロンが高ければ、バリバリ働いて、仲間や家族、他人とのつながりを大切にしながらも、社会全般に関心を持ち、人生を積極的に楽しもうという意欲がわくものです。また、いつまでも若々しく、男らしさにあふれますから、必然的に女性にもモテる可能性が高まります”

 堀江氏はテストステロンを、「社会のなかで自分をアピールし、未知の世界に旅立たせる“夢と冒険のホルモン”」ととらえているという。40歳すぎから始まる日々のちょっとした不調や気持ちの落ち込みなどをなくし、明るく健康的な毎日を送るために、あなたもテストステロンを増やす生活に取り組んでみてはいかがだろうか?

文=井上淳