自己肯定感の高い子を育てるヒントが…!発達障害の兄妹の成長を描いた子育てコミックエッセイ

アニメ・マンガ

2019/3/11

『うちのでこぼこ兄妹 発達障害子育て絵日記』(寺島ヒロ/飛鳥新社)

「発達障害」というワードは近年、メディアで取り上げられる機会も増え、目にすることが多くなりました。しかし、実際、我が子に発達障害の傾向があると、親としてはどうしても不安な気持ちになってしまうもの。中には、「どんなふうに子どもと接していけばいいのだろう…」と悩み、さまざまな発達障害関連の書籍を手に取る方もいるのではないでしょうか。

 そんな時にこそ出会ってほしいのが『うちのでこぼこ兄妹 発達障害子育て絵日記』(寺島ヒロ/飛鳥新社)。本書は、自身もASD(自閉症スペクトラム障害)傾向を持つ寺島さんがブログで発信してきた「でこぼこ兄妹日記」を大幅に加筆&リメイクし、書籍化したもの。

 寺島さんには2人の子どもがおり、どちらの子にも発達障害の傾向があります。そのため、生活の延長線上にある「発達障害の形」を多くの人に知ってもらえるよう、生活感が溢れる作品を描き続けてきました。

 発達障害に関する書籍は専門的な内容になっていることが多いため、小難しく感じられたり、余計に不安感が高まってしまったりすることもあるように思います。ですが、本作はユーモアも交えながら発達障害の特性を分かりやすく教えてくれるのです。

■我が子の発達障害とどう向き合うかを学べる1冊

 発達障害の特性には個人差があります。寺島さんのお宅は兄妹ともにASD(自閉症スペクトラム障害)の傾向がありますが、2人は異なる特性を持っているそう。
 例えば、お兄ちゃんのタケルくんはこだわりが強いアスペルガー症候群(※診断当時の名称)。筋が通らないことを嫌い、時間に正確。

 幼少期にはパズルを3枚同時に作り上げたり、漢字をすぐ読めるようになったり、寺島さんを驚かせたこともありました。

 対して、妹のいっちゃんは全身を使う動きや平衡を保つ体の動きが苦手。しかし、CMで流れてくる音楽を即時にドレミに置き換えられる絶対音感を持ち、複雑な曲を自作することもできるのです。

 そんな2人の異なる特性を寺島さんは日々、大らかな心で受け止め、得意なことを伸ばしながら子育てを行っています。でも、過去には辛い思いをしたこともありました。

“お母さん、自分のしつけの至らなさを子どものせいにしちゃダメよ。こんないい子を障害者にしたいの?”

 これは寺島さんが、市の療育センターで行われていた「発達相談」へタケルくんを連れていった時に担当者から言われた言葉。当時は「特別支援教育制度」が始まったばかりで、全国的に子どもの精神科医が不足していました。そのため、発達相談で我が子に対する適切な対応を教えてもらうことが難しく、寺島さんは歯がゆい思いをしたそうです。

 こうした思いをしている親御さんは、現在でもまだまだ多いのではないでしょうか。発達障害という名称は世の中に広く浸透しつつありますが、発達相談でどれだけ親身に悩みを聞いてもらえるかは、各自治体によっても異なるようです。そのため、適切なサポートを受けられないと、我が子に発達障害の傾向があったとしても、どう対応していけばよいのか悩んでしまうはず。そんな時にこそ、寺島さんの体験談が詰め込まれた本作を参考に子どもとの向き合い方を考えてみてはいかがでしょうか。

 他の子と同じようなことができずに一番苦しんでいるのは、発達障害のある我が子。子どもが感じている不安感を和らげてあげるためには、まず親が発達障害とどう向き合っていけばよいのかを理解していきましょう。

■自己肯定感を伸ばす子育て法とは?

 寺島さんの家庭を見ていると、子育てはもっと気持ちを楽にして取り組んでよいのかもしれない…と肩の力が抜けていきます。

「夜、なかなか寝付いてくれない」「洋服の素材へのこだわりが強い」といった発達障害の特性は、親にとって大きな悩みになってしまうことも…。しかし、そうした特性を“個性”として受け入れ、どうすれば我が子が心地よく楽しく生きていけるかを考えてみると、当人も発達障害であることに引け目を感じず、家族も笑顔で暮らしていけるはず。苦手なことよりも、好きなことや得意なことをとことん伸ばしていくことこそが、自己肯定感を伸ばすためのポイントとなります。

“うちの子どもたちは割と自己肯定力の強い子どもです”

 そう言える寺島さんの子育て法には、みんなが幸せになれる秘訣が隠されているのではないでしょうか。

 また、寺島さんは普段から子どもたちと積極的にコミュニケーションを取り、心の内を理解しようと心がけているため、本作を読むと発達障害のある子がどんな想いや感覚を抱いているのかを知ることもできます。

 幼少期から思春期までの長きにわたるエピソードが収録されている本作は、子どもの成長に合わせて発達障害とどう向き合っていくかを知れる作品。自分の子育てに迷いが生じたときにこそ、手に取ってみてください。

文=古川諭香