妖艶な姿と天然の「隙」が最高!? アラフォー美魔女の日常に癒される……!

マンガ

公開日:2019/3/9

『美魔女の綾乃さん』(相原瑛人/講談社)

 美しくて優しい女性のいる空間に、どこかホッとした気持ちになり、癒されたことはないだろうか? 筆者は女性だが、近所のコンビニやクリーニング店、職場の事務員さんにそのような方がいると、胸が高鳴り、自然と口元がゆるんでしまう。

 ただその空間にいるだけで周囲を明るく照らす女神のような女性の魅力は、実に無限大である。

 相原瑛人先生のマンガ『美魔女の綾乃さん』(講談社)は、周囲の人々を魅了してやまないアラフォー美魔女・綾乃さんの穏やかな日常が、約4ページずつ描かれているショートコメディだ。

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 綾乃さんは、高校生の息子がいる39歳の主婦。スタイル抜群で、貴婦人のようなエレガントさも兼ね備えた絶世の美女である。周囲もほとんど似てない息子のことを「彼氏」だと勘違いするレベルの若さと美貌を保っており、正直、40歳を前にしてこの透明感を持つ女性は、この世にいない気もするほどである。

 そんな綾乃さんは、日々、無自覚に周囲を虜にしている。例えば、息子の同級生の慎くん。彼はよく綾乃さんたちの自宅に遊びに来るのだが、いつも綾乃さんに翻弄されている様子が面白い。

 例えば、綾乃さんが玄関で立ったまま靴を履こうと手を足元にやると、スカートがずり上がり、ショーツが丸見えに……! 慎くんはワナワナと震えるのだが、綾乃さんは全く気付くことなく「いってきま~す♪」と出かけてしまう(ちなみに息子だけが綾乃さんに対して冷静である)。

 ゆるく結んだ髪に、カーディガンとロングスカートを合わせ、機能性の高いトートバッグを肩にかけた姿や、腰痛や物忘れに悩む様子はアラフォーらしいのだが、豊満な肉体と天然の「隙」は、周囲を瞬く間に悩殺してしまうのである――。

 また、綾乃さんは飾らない性格で、とても優しいのも魅力だ。息子のバイト先に変装してこっそり訪れ、ガラケーで盗撮するユニークな一面もあれば、引きこもりの男性が母親に頼まれ、外に出て大きな棚を運んでいるのを見かけると「こんにちは すごく重たそうなのにすごいですね」とさらっと声をかける。

 近所のパン屋とケーキ屋にも、とても嬉しそうに訪れるので、店員は綾乃さんが来ることを楽しみにしている。ついにはパン屋とケーキ屋の店主が「綾乃さんはウチのお客だ」とバトルを繰り広げるのは笑ってしまった。

 ウォーキングをはじめると、ご高齢の男性が後をゾロゾロついて行き、犬までもが綾乃さんにメロメロになる。お酒を飲むとテンションが高くなり、ヨガのインストラクターになる妄想をしながら、「屍のポーズ」でうたた寝してしまう……。そんな綾乃さんの多彩な表情に読者のハートがわしづかみにされるのはもちろん、何事もゆる~く取り組む柔らかな雰囲気に、読後はすっかり癒される。綾乃さんの妖艶な姿と、愛嬌のある内面をぜひたっぷりと堪能してほしい。

文=さゆ