救世主は“JKオタク”の高校教師! 女子高生vs.熱き変態たちのおバカマンガ登場

マンガ

公開日:2019/3/13

『JKキングダム♡東京』(鷹巣☆ヒロキ/小学館)

 日常が終わる瞬間は、突然訪れる。東京・大手町で信号待ち中のサラリーマンがふと空を見上げると、降ってくるのは無数の女子高校生たち。当然街中がパニックに陥るなか、男性は“パンチラ”に惹かれて手を差し伸べてしまう。次の瞬間にはあっという間に触手で攻撃され、スーツに身を包んだサラリーマンは、スタバの新作フラペチーノに夢中な「花のJK」に姿を変える。

 冒頭から衝撃のシーンが描かれている『JKキングダム♡東京』(鷹巣☆ヒロキ/小学館)は、人間たちを次々に「女子高校生化」させてしまうJK星人と変態教師の熱い攻防を描いたおバカマンガである。

 主人公となるのは、政府からJK星人撃退を託された、高校教師の道理かける。一見イケメン風な雰囲気も漂う彼の変態っぷりは、読者の予想をはるかに超えている。道理は、自室にさまざまなタイプの女子高生人形をコレクションし、名前を付けて愛でている。また「JKと一般女子の服の染みの付き方比較」や「親から推測するJKの性格傾向」なども、長年の研究によって割り出し済。超、がつく変態教師なのだ。

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 しかし本作を、ただのおバカマンガと捉えてはいけない。『JKキングダム♡東京』には、節々に“にくい”演出がちりばめられているのだ。なかでも印象的なのは、第3話。道理の反対を押し切って、政府が実行したJK星人撃退作戦が失敗してしまうシーンである。

 おとり役の男性アイドルが返り討ちにされる場面で、道理は咄嗟に「〇〇しながら、土下座しろ!」と命令。お構いなしに触手を伸ばすJK星人たちは、土下座をしている男性アイドルのある行動に気付く。彼はなんと謝るふりをしながら、スカートから覗くパンツを盗撮していたのだ。罵倒しながらも、その場を立ち去るJK星人たち。“性の対象として見られることが一番嫌い”という、JK心理を逆手にとった道理の指示によって、おとり役は侵食攻撃を回避できたのである。

 本作の魅力は、道理かけるの変態っぷりと、たまに見られる格好良さとのギャップ。作者の鷹巣☆ヒロキ氏は読者を虜にするズルさを、1話にひとつ必ず入れているのだ。1巻を読み終える頃には、ギャグ漫画に苦手意識を持っていた人も、次巻を読みたいと切望しているにちがいない。

 ちなみに、1巻のラストページには「『JKキングダム♡東京』第二集!!発売するかどうかは全く未定!!」との記載。次巻の予告まで新感覚な、おバカマンガである。

文=山本杏奈