辻真先、有栖川有栖、田中芳樹、3名のミステリ作家が選ぶ、ミステリー漫画の金字塔『Q.E.D.-証明終了-』ベストストーリー!

マンガ・アニメ

2019/3/6

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 1997年に連載がスタートし、その後17年間にわたる長期連載作となった『Q.E.D. 証明終了』(加藤元浩/講談社)。本作は、弱冠15歳でMIT(マサチューセッツ工科大学)の数学科を卒業した天才少年・燈馬想(とうま・そう)と、その相棒となる男勝りな女子高生・水原可奈(みずはら・かな)が、さまざまな事件を解決していく本格ミステリマンガだ。

 作中で描かれるエピソードは実にさまざま。犯行不可能とも思われる密室内で起きてしまった殺人事件を鮮やかに解決することもあれば、想たちが通う高校内で発生したささやかな事件の原因を究明することもある。ときには想が“安楽椅子探偵”の如く、事件関係者の証言のみで真相を突き止めてしまうような展開も見せる。この振れ幅の広さが、より大勢のミステリファンの心を掴んだ要因だと言えるだろう。

 このたび、本作に収められている99のエピソードより、現役のミステリ作家がセレクトしたエピソードを収録した『Q.E.D.―証明終了― THE BEST 田中芳樹SELECTION』『Q.E.D.―証明終了― THE BEST 有栖川有栖SELECTION』『Q.E.D.―証明終了― THE BEST 辻真先SELECTION』(講談社)が電子書籍限定で配信された。
 その選者を務めたのは、業界の第一線で活躍している辻真先さん、有栖川有栖さん、田中芳樹さんの3名だ。そんな彼らを唸らせたのは、一体どのエピソードなのか。

 たとえば、辻真先さんがセレクションしたのは、「銀の瞳」「Serial John Doe」「マジック&マジック」「ジンジャーのセールス」「坂道」の5編。「銀の瞳」はコミックス第1巻に登場するエピソードであり、ひとりの男の死を巡るエピソードだ。関係者の証言が微妙に食い違い、誰が犯人なのかわからないなか、想が見つけた真実は読み手の想像を遥かに超えるもの。辻真先さんも「ミステリの魅力を満載した上で、ラストに提示された“犯人”の姿が、いつまでも読者の目に焼きつくことだろう」という選評を寄せている。

 また、「坂道」は、可奈が過去に体験した出来事にまつわる物語。それを電話口で聞いただけの想があっさりと謎を解決するさまは、実に爽快だ。

 その他、有栖川有栖さんは「ヤコブの階段」「無限の月」「黒金邸殺人事件」「密室No.4」「Question!」を、田中芳樹さんは「褪せた星図」「凍てつく鉄槌」「罪と罰」「カフの追憶」「巡礼」をセレクトしている。

 それぞれの選考コメントを読むと、エピソードのどこに惹かれ、驚き、感銘を受けたのかがわかる。そして、田中芳樹さんのコメント「選考の依頼を受けたときは、嬉しさに目がくらんで飛びついてしまったが、その後で頭をかかえることになった」にあるように、3名の作家がいかに真剣に本作と向き合ったのかも伝わってくる。それは言わば、ミステリ小説家とミステリマンガとの対決だ。

 これまで、本作に触れたことがないという人は、ぜひこの機会に手に取ってみてもらいたい。ミステリ作家を驚嘆させる、本格ミステリマンガ。その面白さを知ってしまったら、きっと抜け出せなくなるだろう。ちなみに、本作は一旦2014年に完結したものの、翌2015年からは「少年マガジンR」にて新シリーズとなる『Q.E.D. iff-証明終了-』がスタートしている。ますますパワーアップした想と可奈の活躍が読めるので、ぜひ!

文=五十嵐 大