あなたの性格は変えられる。自分が自分におこなう“大人の躾け”とは

暮らし

公開日:2019/3/10

『自分を躾ける』(加藤ゑみ子/ディスカヴァー・トゥエンティワン)

「私たちは、自分という人間をどれほど理解しているのだろう」――そんな想いを抱かせてくれる『自分を躾ける』(加藤ゑみ子/ディスカヴァー・トゥエンティワン)は、これまでの「自分像」を改めたくなったときにおすすめしたい1冊だ。

 日頃から「自分のことが嫌い」「自分を変えたい」と考えている方は多いはず。しかし、どんな風に自分を変えていったらよいのか分からないと、結局嫌いな「自分像」のままで生きていくしかないように思えてしまう。本書はそんな心にカツを入れつつ、美しい大人になるためのヒントを与えてくれる人生のバイブルだ。

“大人の躾けは自分で行うものです。年齢に関係なく、何歳からでも躾けられます。他人の力を借りずに、自分の力で変わることができます”

 そう語る著者の加藤さんによれば、躾けは「こうなりたい」という切なる思いによって身に付くのではなく、「良い躾けが身についているように思える振舞いをすること」で身に付くものなのだそう。

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 では、誰からも愛される美しい大人になるには、具体的にどんな振舞いを心がけていけばよいのかを本稿ではご紹介していきたい。

■性格は躾けで改善できる!

 性格は生まれ持ったものであるため、変えることが難しいように思える。だが、実は性格の大半は成長する過程での習慣によって出来上がったものであるため、生活習慣を変えれば、今までの自分を変えることができるという。

 性格を変えたいときは「鷹揚で、素直で誠実で、優しさを持ち、辛抱強く、楽しさを人に与えられる」という、複数のポイントを意識してほしいと加藤さんは語る。

 例えば、鷹揚な性格になるには褒められたときの振舞いを見直してみる必要がある。日本人は褒められるとつい、「そんなことないですよ」と謙遜してしまいがちだ。しかし、謙遜ではなく、褒めてくれた人を敬う返答ができたら、相手も自分も幸せな気持ちになれる。「恐れ入ります」「有り難う存じます」「そう言っていただけて嬉しゅうございます」など、ポジティブで丁寧な言葉を伝えられたら、あなたの印象は一気に変わる。同輩などがいる場合は、「みなさまに助けられて」や「足を引っ張らないよういっそう努力致します」など、気遣う言葉をプラスできたら、周りからも一目置かれる存在になれるのだ。

 また、性格を変えるためには言葉づかいだけでなく、ひとつひとつの物事を丁寧に行っていくことも大切。忙しい日々を送っていると、つい手抜きな対応をとってしまうことも多いが、人間関係は鏡であるということを忘れてはいけない。

 人間関係は、自分が丁寧に接していると相手も丁寧になり、周りも丁寧になっていくもの。こうした「良い感染」を広めるには、日常の何でもない作業も丁寧に行い、心を磨いていこう。

■美しさも躾けで手に入る

 美しい人とは美形に生まれた人のこと。そう思っている方は多いかもしれないが加藤さんは、美も自分を躾けることで手に入れられるのだと言う。その際、重要となるのが相手に好印象を与えられる所作を学ぶことだ。

 好印象を与えるには笑顔が有効だと思われがち。しかし、笑顔だけではなく、優しい印象を与えられる6つの表情をマスターできたら、印象はさらによくなる。

(1)優しい温かな真顔
(2)喜びの表情
(3)楽しさの表情
(4)包み込む温かな表情
(5)明るい表情
(6)穏やかな表情

 どんなに美しい人でも仏頂面をしていると、美しく見えはしない。良い表情は自分の魅力をアピールする最大の武器となるので、ぜひ鏡の前で6つの表情を練習してみてほしい。

 なお、表情をマスターした後は目の前の相手を温かい眼差しで包み込めるよう、視線にも配慮をしていこう。女性の中には、意中の相手を上目使いで見つめる人もいるが、これはNG。万人受けするような温かい眼差しを作るには、視線と身体の方向、首の方向全てをそろえるのがポイントとなる。

「目は口ほどに物を言う」という言葉もあるからこそ、美しさに磨きをかけたい方はこれを機に、視線の向け方も見つめ直していこう。

 本書には全6章にわたって、美しい大人になるための躾けが記されている。自分を変えることは困難なように思えるが、日頃の所作や習慣を変えていけば、理想の自分に近づくことは可能。「素敵な自分像」は、日々のちょっとした躾けで作りあげることができるのだ。

文=古川諭香