ハリーポッターやアラジンの世界観を作れる! 魔法使いが“100の秘伝レシピ”をこっそり公開

食・料理

公開日:2019/3/19

『魔法使いたちの料理帳』(オーレリア・ボーポミエ:著、田中裕子:訳/原書房)

「ハリーポッター」や「アラジン」「ナルニア国物語」など、魔法使いが出てくる作品は予測できないストーリー展開が売り。視聴者や読者は神秘的な魔法にもワクワクさせられる。しかし、そんな魔法使いたちは普段、どんな暮らしをしているのだろう…と気になったことはないだろうか。

 そんなユニークな考えのもと、魔法使いたちの食事にスポットを当てた『魔法使いたちの料理帳』(オーレリア・ボーポミエ:著、田中裕子:訳/原書房)は、これまでにないレシピ本。

“魔法使いや魔女たちは、呪文をとなえたり、世界を救ったり、悪事を企てたりしている以外は、いったい何を食べて生活しているのだろう!”

 友人との会話を機に、そう思うようになった著者のオーレリアさんは、膨大な時間をかけ、魔法使いたちの食事を徹底的に調査。その結果、魔法使いたちは各地の食文化から着想を得て、オリジナルの創作料理を食べていたことを知った。

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 本作では全4章にわたり、オーレリアさんが調べあげた魔法使いたちの家庭料理やごちそう、スイーツなどを紹介。有名作品を彷彿させるレシピの数々は魔法のステッキや大鍋を準備しなくても手軽に作れる。では、さっそく魔法使いの食卓を目と舌で楽しんでみよう。

■あの人気ディズニー作品「アラジン」の世界へ飛び込もう!

 2019年6月に日本でも実写映画化が決定した「アラジン」は長きにわたり、多くのファンたちから愛され続けているファンタジー作品。ランプの魔人であるジーニーのユニークなキャラクターやアラジンの勇敢さ、絶対的ダークヒーローであるジャファーのずる賢さに魅了される。

 そんなアラジンの世界観を堪能したいときは、アラビア料理に舌鼓を打ってみよう。中でもぜひチャレンジしてみてほしいのが、名物料理である「スークのシガール」。

 シガールとは、薄く焼いたクッキーをくるりと巻いたお菓子のことだが、本書はほうれん草やチーズを入れ込んでメインディッシュに。一見手間がかかりそうに思えるかもしれないが、パートフィロの中に具材を入れ込み、200℃のオーブンで焼くだけで完成。

 調理中は軽快なレシピ文にも注目したい。

“さあ、ここからは40人の盗賊と同じくらいのお手並みが要求されますよ!”

“魔法のじゅうたんが自分の縁飾りを使えと言っても知らんぷりしてくださいね。”

 茶目っ気たっぷりなレシピ文を見ていると、アラビアの商人と会話しながら料理を作っているような感覚になってしまうはず。アラジンの世界観にどっぷりと浸りながら作った「スークのシガール」は、レモン汁を加えたヨーグルトにつけて食べるのもおすすめだ。

 なお、本書にはジャファーの語り口で記された「敵の肉団子のブロシェット」や、ランプの魔人が教えてくれる「魔法の洞窟のおやつ」も収録されている。そちらも笑いながら、実践してみてほしい。

■見た目も味も楽しめる魔法使いのパーティー料理

 魔法使いたちのパーティーは、料理も独特。食卓には、ちょっぴり禍々しくも好奇心がそそられる料理が並べられるよう。

 例えば、魔術師の腐敗にスポットを当てている「バーティミアス」からは、ベテラン魔術師たちが集まるパーティーでも振舞える「魔法のステッキ」が紹介されている。

 ブリッシーニやトマト、モッツァレラチーズを活かした魔法のステッキは10分ほどで作れるが、強大なパワーを持っているので取り扱いには注意しよう。

 そして、パーティーに料理を持参したいときは「美女と野獣」のベルも気に入ったという「ベルのタルトレット」がおすすめ。

 パートブリゼにセップ茸(ポルチーニ茸)やエシャロット(タマネギで代用可)を散らし、180℃のオーブンで焼いたこの料理は、魔法で目が見えない姿にされてしまった料理人たちが工夫して完成させたもの。野獣の地にやってきたベルを笑顔にした。

 オーレリアさんいわく、作るときにもし召使いが目に見えない姿にされている場合は、彼らに料理を手伝ってもらうとトラブルや怪我の元になるので、自力で頑張ってみてほしいそう。

 絶体絶命な状況のベルを喜ばせたタルトレットはきっと、あなたの心も癒してくれるはずだ。

■誰に飲ませようか迷う“秘密の魔法薬”

 優秀な魔法使いたちは、門外不出な秘密の魔法薬を知っている。本作では、そんな魔法薬も特別に紹介! 使いたい相手を思い浮かべながら、慎重に調合してみよう。

 例えば、心身共に疲れてしまったときは「ナルニア国物語」の魔女・ジェイディスが生み出した「エナジードリンク」を。

 牛乳やカフェインレスコーヒー、ココアパウダー、ホイップクリームなど家庭にあるものでサッと作れるこのドリンクは、大切な相手にも作ってあげたい1品だ。

 そして、スペシャルな調合薬のお供には魔法使いたちをも虜にしている絶品スイーツを用意してみよう。小麦粉やシナモンパウダー、グラニュー糖などを使って作る「アガモットの目」は、目で見ても楽しめるおすすめスイーツ。

「ドクター・ストレンジ」の世界がギュっと濃縮されたこのスイーツを一口食べれば、あなたも時間を自由に操れるようになるかもしれない。

 魔法使いたちが愛してやまない秘伝のレシピが100品も掲載されている本書は、読者を不思議な世界に引きずり込む。もしかしたら、本書自体に“中毒性の魔法”がかけられているのかもしれない。

文=古川諭香