美味しいお酒とおつまみで幸せ!「ちょっぴりオトナ」の同棲生活にキュンとする『トナリはなにを食う人ぞ』ほろよい版!

マンガ

公開日:2019/3/14

『トナリはなにを食う人ぞ ほろよい』(ふじつか雪/白泉社)

 仕事を終え、帰宅後のおつかれさまの一杯は格別だ……! という人はきっと多いだろう。一人で落ち着いて飲む空間も捨てがたいが、一日の出来事を、愛しい恋人と語り合いながら、美味しいおつまみを食べるのもまた最高に違いない。

 ふじつか雪のマンガ『トナリはなにを食う人ぞ ほろよい』(白泉社)は、料理上手な男子・瀬戸くんと、大学卒業後に同棲をはじめたすずなの料理ラブコメである。

 本書は『トナリはなにを食う人ぞ』の続編。大学で上京した際、マンションの隣同士に住んでいたことがきっかけとなり、瀬戸くんから料理を教わる日々を送っていたすずな。そんな2人が社会人となり、お酒も美味しく飲める歳に成長。毎日手作りの美味しいご飯を作ってお酒を飲む「ちょっぴりオトナ」の生活を送る様子が、お手軽おつまみレシピと共に描かれている。

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 本作は、巻を追うごとに “糖度高め”になっていくのが印象的だ。すずなと出会ったばかりの頃は、彼女のことを「全くタイプではない」「面倒な隣人」と称していた瀬戸くんだが、本作では、すずなに惹かれ、甘々になっている彼の様子をたくさん垣間見ることができる。

 例えば、実家が農家であるすずなの家から「春キャベツ」が大量に届けば、にんにくの風味を活かしたお酒に合う時短レシピ「塩キャベツ」をさっそく作る瀬戸くん。同棲する上でにんにくとの付き合い方に悩むすずなに「お互い臭ければ問題ないのでは?」とサラッと発言するシーンには胸がキュンとしてしまった。

 また、2巻ではなんと、瀬戸くんの実家である香川に挨拶に行き、母親と弟妹3人に歓迎され、郷土料理を堪能するすずなの様子が描かれている。

 瀬戸くんがどんな所で料理を教わっていたのかと、台所の鬼である母親と息子が、讃岐の郷土料理でもある酢みそ和え「あじのてっぱい」をはじめ、たくさんのご馳走を作る様子を見守るすずな。

 ずらりと並んだご馳走が壮観で、食欲をそそるのはもちろん、瀬戸くんがすずなとの将来を前向きに考えている様子がひしひしと伝わってきて、すずなの片思いを応援しながら読んでいた筆者は、何だかとても嬉しい気持ちになった。

 本書では他にも、瀬戸くんが勉強に忙しそうなすずなにかまってほしいからと作った、ワインに果実をつけこむお酒「サングリア」や同じ液を使う「トマトのハニーマリネ」、初心者向けの庶民料理である「ドライカレー」など、手軽に挑戦できて、見た目もおしゃれなレシピがたくさん紹介されている。

 美味しいおつまみを作り、時にはお酒の匂いにくらくらしながら、その後「ちょっぴりオトナ」な展開になる様子に、胸のときめきが抑えられないマンガである。ぜひ読んでみてほしい。

文=さゆ