男の自己紹介欄には「月のお手当は30万円」――31歳主婦が遭遇した、愛人トラブルとは?

社会

2019/3/13

『副業愛人』(中山美里/徳間書店)

 バブル期には男の成功の象徴でもあった“愛人”の存在。当時は、互いに恋愛感情はなく、男性からは金銭や宝石、高級車などの「月のお手当」を女性に贈り、その対価として、女性たちは男性の欲望を満たす……そんな関係が巷にあふれていたという。

 しかし、バブル崩壊後には愛人を囲う余裕がある男性は激減。何より、不倫や不貞に対する世間の目が厳しくなった今では、愛人文化そのものが否定されるようになった。しかし、男女の間に金銭が介在する関係がなくなったわけではない。

 著者の中山美里さん自ら10代~40代の愛人経験がある女性に取材してまとめた『副業愛人』(徳間書店)は、愛人文化の変遷をたどることができる一冊だ。「はじめに」では、現代の愛人について以下のように綴っている。

バブル時代のような愛人はファンタジーだ。
 愛人が、非現実じみた豪華さを手に入れる手段ではなく、生活を成り立たせるための“アルバイト”“副業”となった現代では、「プチ愛人」「パパ活」といった単語がマスメディアに躍る。

 かつては、銀座高級クラブのホステスや芸能人など、いわゆる「女であることがプロフェッショナルな人」が重宝され、職業のひとつといっても過言ではなかった愛人。しかし、相場が下落した今では、OLや学生、人妻などの「素人女性」が、小遣い程度の収入を得る“副業愛人”が増えているという。

 そんな素人女性たちが「パパ」や「愛人」を探す場合、ネットの掲示板やSNSを使うケースが多く、ときにはトラブルに巻き込まれることもある。副業愛人歴2年の由奈さん(31歳/主婦)は、ネットの愛人募集掲示板で見つけた、自称「38歳投資コンサル会社経営者」との間に起きたトラブルについて語っている。男は自己紹介欄に「月のお手当は30万円を考えています」と記載していたという。

現れたのは、スーツ姿でメガネをかけていて少し髪の毛が薄い男。38歳には見えませんでしたね(笑)。身につけているものも、とても億の金を動かしている人には見えませんでしたが(中略)月30万円のお小遣いを前にするとピカピカに見えちゃったんです。

 男はまず、由奈さんに対して趣味から夜の生活まで、さまざまな質問を投げかけた。一方の由奈さんも“お手当30万円のため”と、愛想よく答えたという。さらに男は「身体の相性を重視したいと思ってまして……」と話し、その日のうちにホテルへ。事後、男から「月に4回ほど会ってください。お手当は、月の終わりに現金でお渡ししますので」との申し出があったそう。愛人審査に合格した彼女は、月末のお手当を目指して2回、3回と、男とベッドをともにしたが、4回目を迎える直前、男からの連絡が途絶えた。唯一の連絡手段だったLINEも既読にならず、意を決して男の名刺に書かれた電話番号に連絡をすると……

繋がった先は……なんと警察署(笑)。びっくりして電話を切りました。その時に、タダ乗りされたことに気がつきました。

 ネットの掲示板や出会い系アプリには、業者やヤラセ、詐欺師が多く紛れ込んでいる。由奈さんは、そういった情報に疎かったため、愛人詐欺に引っかかってしまったようだ。しかし彼女が副業愛人を諦めることはなかった。その経験を活かして、相手を見極める技術を磨き、今では月に10万円~15万円の収入を得ているというから驚きだ。正しい表現かはわからないが、女性のたくましさを感じるエピソードだった。

 そのほかにも、趣味のコスプレを応援してくれるパパがいる女性や、男友達3人から愛人シェアをされている30代女性など、28の多種多様な愛人体験談が並んでいる。また、著者の中山さんによって描かれる“濡れ場”は官能小説を彷彿とさせる表現力を備えていたり、なにやらセクシーな写真が挿絵になっていたりと、かなり刺激的な仕上がりになっている。日本の愛人今昔物語、ご興味のある方はぜひご一読あれ……。

文=田中ハルカ