けたたましく動くクマ プレゼンツ! 相手がおもしろいほど話を聞いてくれるフレーズ集

ビジネス

公開日:2019/3/20

『プレゼンの語彙力 おもしろいほど聞いてもらえる「言い回し」大全』(下地寛也/KADOKAWA)

 プレゼンや営業、販売をする人が、喉から手が出るほど欲しいもの。それは度胸と話術だろう。それらを得るには、どうしたらいいのか。

 結論から言おう。まずはボキャブラリーを増やせばいい。そうすれば話術に自信がみなぎり、度胸は一緒について来る(たぶん)。

 そこでご紹介したいのが『プレゼンの語彙力 おもしろいほど聞いてもらえる「言い回し」大全』(下地寛也:著、たかだべあ:イラスト/KADOKAWA)だ。

advertisement

 本書には、「自信を示す」言い回し、「興味を引く」言い回し他、7つのテーマに分類された、プレゼンにすぐに活用できる100のフレーズが厳選されている。

 1フレーズ1ページで簡潔に解説されていて、とても読みやすく、ポイントがつかみやすい。そして反対ページには、LINEスタンプでも大人気のイラストレーター、たかだべあ氏による「けたたましく動くクマ」が1ページまるまる登場して、理解をサポートしてくれるのも、なんだか楽しい。

 では、肝心の「プレゼンの語彙力」を高めてくれるフレーズにはどのようなものがあるのか、いくつか紹介していこう。

●壮大な敵をライバル視する 「グーグルを一緒にやっつけましょう!」

 まずは第1章『「自信を示す」言い回し』より。著者はこう記している。

 自分が目指しているものを具体的に示す。これはプレゼンにおいて重要です。その方法として仮想敵(ライバル)を決めることはとても効果があります。

 あなたが何かの新規サービスを顧客企業に売り込んでいるとしよう。その際に、「ぜひ一緒にこのサービスを世界一にしましょう!」と言ったのでは、ちょっと漠然としてしまう。

 そこで、人気があってスケールが大きな会社や人物を仮想敵にして、こんなふうに言おう。

(使用例)
・このサービスでグーグルを一緒にやっつけましょう!
・クリエイティビティではアップルに負けていません!
・最終的にはライオンと勝負したいと思っているんです!

 この場合、著者によれば、本当にそのライバルを倒せるかどうかは重要ではなく、「自分の志が高いことを示すのが目的」だという。

 こんなフレーズを聞かされたら先方も「本当にやっつけられるの?」とは突っ込まず、「なんだか威勢がいいね」と気に入ってもらえるはずだ。

●ランキング化する 「ユーザーの不満 トップ5は…」

 次に第2章『「興味を引く」言い回し』より。プレゼンや営業したい商品やサービスの周辺情報を話す際、「既存製品へのユーザーの不満はたくさんあります。まず~」などとダラダラ話してはいけない。

 こういう場合、「ユーザーの不満トップ5は~」などとランキング化して話すようにする。すると相手は「1位はなんだろう」と、想像しながら話を聞いてくれるようになるそうだ。

(使用例)
・現在、女性に人気のスイーツ・トップ5とは~
・私が考えるダメ営業のトップ3について説明しましょう…

 この場合、著者によれば、「ランキングは必ずしも、しっかり調査する必要はない」という。

●あえて安い方をすすめる 「こちらの安い方で機能は充分です」

 最後に第3章『「驚きを与える」言い回し』より。営業マンや販売員と向き合ったお客の心理は、「きっと、より高い商品を売りつけてくるに違いない」というものだ。

 そこでまずは、「この安い方でも、充分に優れた機能がありますよ」と、安い商品を勧めるのだ。すると「え、安い方でいいの?」と驚き、「この人、ちょっと信頼できるかも」と、信頼を勝ち取れるのである。

 そして相手のニーズをさらに探り、「でももし〇〇機能が必要なら、それは申し訳ないですが、こちらの最新型にしか付いていない機能なのです」と、上位機種を勧めるというわけだ。

(使用例)
・私だったらこちらのスタンダード版(安い方)を買うでしょうね。
・初心者なら〇〇機能はありませんが、低価格版でも悪くないですよ。

 たしかに驚きを与える言い回しだが、「じゃあ、安い方で」と言われる可能性はもちろんゼロではない。でも、こんなふうに言ってくれる販売員は、売り上げは伸ばせなくても、お客から愛される存在にはなるだろう。

 他にもざっくり紹介すると、こんな言い回しが掲載されている。

【勝手に革命を起こす】
・いつもの言い回し 「これは、今までとは違うダイエットなんです」
・自信を示す言い回し 「これこそダイエット革命です」

【いつもの話を裏話にする】
・いつもの言い回し 「中国に進出する予定です」
・興味を引く言い回し 「ここだけの話ですが、中国に進出する予定です」

 このように、プレゼン・営業・販売の成果が、劇的に変わる珠玉のフレーズ・語彙が網羅された本書。新社会人や異動で新たにプレゼン・営業・販売担当になったなどという方には、ぜひ本書をバイブルにして携帯していただきたい。そうでない人も、スピーチ対策などに本書を役立ててはいかがだろうか。

文=町田光