「早く抱かせてくれ」――愛情が深すぎるヤクザの若頭と普通の女子大生、恋の行方は…『恋と弾丸』

マンガ

更新日:2019/3/31

『恋と弾丸』(箕野希望/小学館)
『恋と弾丸』(箕野希望/小学館)

 一度でもハマると抜け出せない“危ない恋”。なかでも、裏社会で生きるヤクザとの恋愛は、きっと危険に満ちあふれていることでしょう。先日発売された『恋と弾丸』(箕野希望/小学館)は、ヤクザの若頭と女子大生の危なく過激な恋愛を描いています。

 ハタチの主人公・ユリは彼氏を作るために参加したパーティー会場で、違法ドラッグに興じる若者たちに絡まれてしまいます。勝ち気なユリが、部屋にあったイスを振り回して応戦していると「桜夜組の若頭・桜夜才臣」と名乗る黒髪メガネのイケメンヤクザが現れ、ユリの窮地を救います。普通なら、助けてもらってありがたいけど、もう関わるのはやめよう、なんて思っちゃいますよね。しかし、曲がったことが嫌いなユリは、事件の夜にもらったコートを返すために「桜夜組」を訪れます。

 彼女を自宅に招いた桜夜は、パーティーでの勝ち気な反撃や、借りたコートを律儀に返しにくるなど、ユリの勇気ある行動に惹かれていると話し「さっきユリさんを見つけた時 心臓が撃ち抜かれたかと思った」というセリフを言い放ちます。一方のユリも、桜夜の怪しい魅力に引き込まれ、危険な世界に足を踏み入れていくのでした。

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 ユリと桜夜の刺激的でエロティックな夜もしっかり描かれている同作。ふたりがアツい夜を過ごすたびに、衝撃の桜夜語録が飛び出し、ユリと読者の心を撃ち抜きます。

「ユリ 次は子宮が痛いくらい疼くキスしてあげる…」
「ユリ…最後になるかもしれないセックスで一緒にもっと…おかしくなろうか」
「本当は…喉から手が出そうなほど君が欲しかったんだよ 逃げ道を奪いたくなくて衝動を抑えていたんだ もう驚喜が隠せない 早く抱かせてくれ」
「この身が散って消えるまで 君を愛しぬくことを誓う」
「恥じらってるその表情が可愛いんだ ちゃんと見せなさいユリ」

 どうですか。まさに言葉の弾丸です。情熱的な弾丸で撃たれたが最後、生きて帰れる気がしませんね。さらに、類まれなヤキモチ焼きの桜夜は、少々尖った方法で愛情表現をします。桜夜から「恋人の証」としてもらったピアスのお返しを買うために、ユリが高級クラブでバイトをするエピソードでは、嫉妬に狂う桜夜の一面が明らかになります。

 偶然、クラブを訪れた桜夜は、源氏名「サクラ」として働くユリの姿に驚きながらも「では 君の初指名 俺がいただく」と、相変わらずのクールなセリフでキメます。しかし、ユリが男性客から受け取ったという、大量の名刺を見たとたん表情は一変。

「男達がサクラに落とす金 俺が出す」

 そういいながらテーブルの上に置かれた名刺に火をつけて焼き払ってしまったのです。ヤキモチ焼きというレベルではない、過激派ですね。

 とはいえ、桜夜組の若頭の桜夜は、常に命を狙われる身。甘いだけの日々を過ごすわけにもいきません。いくらユリがカタギであっても、その事実は変わらないのです。彼のストレートすぎる愛情表現や口説き文句は“いつ愛する人に会えなくなるかわからない”という、自身の運命に対する覚悟の表れなのかもしれません。

 エッチで危険な裏社会ラブストーリー…桜夜の魅力に触れたが最後、もう後戻りはできないかもしれません。

文=丸井カナコ