やばたにえん!おけまる水産!JK用語大連発、異色のSFサバイバルは、想像以上に心打たれる内容だった

アニメ・マンガ

2019/3/26

『JKども、荒野をゆけ』(時田/少年画報社)

「自分の境遇を受け入れ、明るく生きよう」と考えても、そうやすやすとはいかない。心が疲れてしまい、逃げや諦めを感じてしまう瞬間は誰にでもあるのではないだろうか。

『JKども、荒野をゆけ』(時田/少年画報社)の主人公は、宇宙に浮かぶ学園鑑「ハイヤーセルフ」の生徒会役員を務める少年。優秀な彼は、将来を約束された人物……のはずだった。ある日の議会中、生徒会長直々の課題に疑問を呈したため、突然の放校処分、通称“死刑”を言い渡されてしまった。絶望のなか、力尽きかけた彼の前に現れたのは、「やばたにえん!」「おけまる水産」など、JK用語を多用する女子高生えるも。なんと彼は、本来の予定地とは異なる女子専用死刑星に不時着していたのだ。

 ジェットコースターのような展開から始まる本作は「落ちこぼれ女子高生×まじめ少年」という異質なコンビが織りなす、SF青春サバイバル。学園鑑への帰還を目指して、さまざまな困難に立ち向かう物語である。

 常に向上心と自立心を忘れないJKたちも、だれにも言えない孤独感を抱えている。第2話では、死刑星特有の感染症にかかった少年を救うために、えるもは苦手な“ほけんしつのせんせい”に立ち向かう。無事、感染症の特効薬を手に入れて戻る途中、少年はJKたちの友達が眠る墓地を発見する。

“友達のお墓掘るとかまじバイブス下がるよ。(中略)掘ってもおわんないの…
墓掘りまじ筋トレ、これ以上ムキムキになるとかありえないからさ”

“死なないで”

 いつもは底抜けに明るいえるもがか細い声で呟いた本音。彼女のさみしげな後ろ姿を見つめながら、少年は覚えたてのJK用語で「り。です」と答えるのであった。

 1巻では、学園鑑の実態や今後の展開を予想できる内容がほとんど描かれていない。しかし、こんなにも心を掴まれるのは、“自分たちの今”を最善にするために精一杯生きる女子高生たちが魅力的であるため。

 石盤を“スマホ”と呼び、大きな黒板型の“インスタ”に手書きでメッセージを書き込む。どんなに絶望的な境遇のなかでも、彼女たちは呆れるほどにまっすぐで、繊細で、愛らしい。読者はそんな女子高生たちの輝くほど純粋な姿に心を打たれるのだ。本作は心に栄養を補給したい日に、読みたい作品である。

文=山本杏奈